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ナウシカが好きなら必見|『もののけ姫』が描いた「その先」の世界

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「好きだ。でも人間を許すことはできない」——サンのこの告白に、あなたは何を思うだろうか。

1997年、宮崎駿は『風の谷のナウシカ』から13年の歳月をかけて、ついに「その先」を描いた。手が飛び、首が飛ぶ。子供向けの牧歌的なジブリ作品とは一線を画す、容赦なき傑作がここにある。善も悪もない。あるのは、それぞれの正義だけ。正義と正義がぶつかるとき、世界は血に染まる。分断の時代を生きる私たちに、この映画は今なお「生きろ」と叫び続けている。

🎬 予告編

📌 この作品を3行で

この作品を3行で

  • 呪いを受けた青年アシタカが、人間と神々の戦いに巻き込まれる
  • 善悪なき世界で、それぞれの正義がぶつかり合う
  • ナウシカで描けなかった「その先」を突きつける、宮崎駿の集大成

作品情報

  • 作品名:もののけ姫(Princess Mononoke)
  • 公開年:1997年
  • 監督・脚本・原作:宮崎駿
  • 音楽:久石譲
  • 上映時間:133分
  • 制作:スタジオジブリ
  • 興行収入:193億円(当時の日本映画歴代1位)

📖 善悪なき世界を描いたあらすじ

室町時代の日本。東北の山里に暮らす青年アシタカは、村を襲ったタタリ神を退治した際、右腕に死の呪いを受けてしまう。呪いを解く術を求め、西方の地へと旅立ったアシタカは、やがて「タタラ場」と呼ばれる製鉄所にたどり着く。

そこではエボシ御前が率いる人間たちが、鉄を造るために森を切り開いていた。一方、森には山犬に育てられた少女サン——「もののけ姫」と呼ばれる存在がいた。森を侵す人間を憎み、エボシの命を狙うサン。人間でもなく、もののけでもないアシタカは、両者の間に立ち、共に生きる道を模索する。だが、森の奥深くに棲む生と死を司る神「シシ神」の首を狙う者たちの陰謀が、すべてを破滅へと導いていく——。

✨ 『もののけ姫』が傑作である理由

ここがすごい!

  • 単純な二元論を拒否する物語構造
  • 「やり直せる」という希望の提示
  • 久石譲の音楽と映像の完璧な融合

単純な二元論を拒否する物語構造

本作の最大の特徴は、絶対悪が存在しないことだ。人間が悪で自然が善、という単純な図式ではない。

エボシ御前を見てほしい。彼女は森を焼き、シシ神の首を狙う「暴君」だ。しかし同時に、当時差別を受けていたハンセン病患者を匿い、女性たちに居場所を与える「慈愛の人」でもある。たたら場の人々がエボシを慕うのには、確かな理由がある。

一方、森の神々も純粋な「善」ではない。乙事主は憎悪に呑まれてタタリ神と化し、猩々たちは「ニンゲン、クウ」と叫ぶ。どちらも正しく、どちらも間違っている。これこそが、現実世界の縮図だ。主張や思想の違いで分断が進む現代社会と、この映画の世界は驚くほど重なる。

「やり直せる」という希望の提示

シシ神の首を切り落とされた瞬間、世界は死に覆われる。だがアシタカとサンが首を返したとき、山々に緑が戻る。

ただし、それは元の「シシ神の森」ではない。もう神々は戻らない。ただの森だ。宮崎駿は安易なハッピーエンドを描かなかった。しかし、そこには確かに希望がある。「まだ、やり直せる」という、残り少ない希望が。

人間の知恵によって、豊かな自然を再び取り戻せるのではないか。その可能性を、宮崎駿は完全には否定しなかった。これは1997年に発せられた、未来への問いかけだ。そして2026年の今、私たちはその問いにどう答えるのか。

久石譲の音楽と映像の完璧な融合

「アシタカせっ記」の壮大なオーケストラが流れた瞬間、心臓を鷲掴みにされる。米良美一のカウンターテナーによる主題歌は、人間離れした美しさで物語を包み込む。

映画館で体感すると、その差は歴然だ。久石譲の重厚なスコアが大自然の神秘性を増幅し、男鹿和雄の描いた美しい背景美術と溶け合う。テレビで観ていたのでは味わえない没入感が、そこにはある。2025年には4Kリマスター版がIMAX上映され、再びその圧倒的な映像と音響を劇場で体験できる機会が訪れた。

🎭 印象的なシーン

「好きだ。でも人間を許すことはできない」

サンの告白。アシタカへの愛と、人間への憎悪が同居する、この映画の核心を突く一言だ。人間中心主義を否定しながら、それでも愛することはできるという矛盾。その矛盾を抱えたまま生きていく覚悟が、ここにある。

「生きろ。そなたは美しい」

瀕死のサンに口移しで食べ物を与えながら、アシタカが囁く。ジブリ史上最もストレートなプロポーズであり、映画のキャッチコピー「生きろ。」の具現化だ。どんな状況でも、生きることを選べ。その力強いメッセージが胸に刺さる。

そしてラストシーン。緑が戻った山々を見つめるアシタカとサン。だがそれは「シシ神の森」ではなく、もう神々は戻らない「ただの森」だ。希望と喪失が同居する、宮崎駿らしい苦い結末。「解決」ではなく「やり直し」の始まりを示唆している。

💭 視聴後の感情

観終わった後、しばらく言葉が出なかった。「なんだかよくわからないが、どえらいものを見てしまった」——1997年に劇場で観た人々が口にしたという感想は、今も変わらない。

本作は「自然と人間の共生」を描いているようで、実はその不可能性を突きつけている。「共存しよう」という甘い言葉では済まない現実。それでも「共に生きよう」と叫ぶアシタカの姿勢こそが、分断の時代に最も必要なものなのかもしれない。

今すぐ観たい方は、TSUTAYA DISCASの宅配レンタルで視聴可能だ(ジブリ作品は国内動画配信サービス未対応)。

こんな方におすすめ!

  • 『風の谷のナウシカ』に心を奪われた人——本作はナウシカで描いたテーマを13年かけてアップデートした作品だ
  • 「善悪二元論」に飽きた大人——絶対悪が存在しない複雑な物語構造が、単純な勧善懲悪に物足りなさを感じる層に刺さる
  • 「生きづらさ」を感じている人——アシタカもサンもエボシも、居場所を追われた者たち。マイノリティが築いたコミュニティの物語として読むと、現代の生きづらさと重なる

😅 惜しいと感じた点

サンの存在感の薄さ

ここが残念…

  • タイトルは「もののけ姫」なのに、物語は実質「アシタカせっ記」
  • 石田ゆり子の声は他キャストと比べて声量が弱い
  • メッセージがストレートすぎて説教臭く感じる人も

タイトルに冠された「もののけ姫」サンの影が薄い、という指摘は根強い。人間ともののけの間で心情的にもっと揺れる描写があれば、さらに深みが増したのではないか。実際、元のタイトル案は「アシタカせっ記」だったという話もある。

また、松田洋治、田中裕子、美輪明宏、森繁久彌という超絶キャストの中で、サンを演じた石田ゆり子の声だけが弱く感じられるという声もある。ただし、これについては「野性的な少女らしさが出ている」という擁護意見もあり、賛否両論だ。

そしてメッセージ性の強さ。自然との共生、環境問題…テーマがストレートすぎて押しつけがましく感じる層も存在する。ナウシカより「説教度」が高いと言われることもある。だが、それこそが宮崎駿が「本気で描きたかったこと」なのだ。

こんな方には向かないかも…

  • 明確な「悪役」がいないと物足りない人
  • グロテスクな描写が苦手な人(首や腕が飛ぶシーンあり)
  • ハッピーエンドでスッキリしたい人

サウンドトラック購入先

🎬 『もののけ姫』が好きなら絶対観るべき3選

風の谷のナウシカ(1984)

『もののけ姫』の原点にして、宮崎駿が「その先」を描くために13年を費やした出発点。腐海はシシ神の森であり、王蟲の暴走は乙事主の突撃であり、クシャナはエボシである。本作を観てから『もののけ姫』を観直すと、宮崎駿がいかにテーマをアップデートしたかが分かる。ただしアニメ版はあくまで原作漫画の序盤に過ぎない。漫画版の深淵を知りたければ、全7巻を読破することを強く勧める

イノセンス(2004)

押井守監督による哲学的アニメーションの金字塔。人間と機械の境界、生と死の意味を問う深遠なテーマ性は、『もののけ姫』が描いた「人間と自然」の対立構図と響き合う。「人間とは何か」を突き詰めた先にある答えを求める人に。

『イノセンス』のレビュー記事を読む

ソナチネ(1993)

北野武監督の傑作。暴力と静謐、生と死が同居する世界観は、『もののけ姫』のそれと不思議なほど似ている。美しさと残酷さが同時に存在する映像を求めるなら、これを観てほしい。久石譲が音楽を担当しているのも共通点だ。

『ソナチネ』のレビュー記事を読む

📺 『もののけ姫』はどこで見れる?配信状況

視聴はこちらから

  • TSUTAYA DISCAS(宅配レンタル)レンタル可能(30日間無料体験あり)
  • U-NEXT:配信なし
  • Amazon Prime Video:配信なし
  • Netflix:配信なし(日本国内)
  • Hulu:配信なし

※ジブリ作品は2026年1月現在、日本国内の動画配信サービスでは配信されていません。視聴方法は「宅配DVDレンタル」「店舗レンタル」「購入」「劇場上映」のいずれかとなります。

📊 配信サービス比較

サービス配信状況備考
TSUTAYA DISCASレンタル可能宅配DVD・30日間無料体験あり
ゲオ宅配レンタルレンタル可能宅配DVD
U-NEXT配信なしジブリ作品は国内VOD未対応
Amazon Prime Video配信なし同上
Netflix配信なし(日本)海外版では配信あり

👉 各サービスの詳細な違いはVOD比較7社徹底解説を参照。

📝 まとめ

『もののけ姫』は、ジブリ史上最も深く、最も容赦ない傑作だ。手が飛び、首が飛ぶ。子供も楽しめるジブリ作品を作り続けてきた宮崎駿が、ここで「本気」を見せた。

この作品には悪がいない。全ての登場人物がそれぞれの正義によって行動している。正義と正義がぶつかるとき、大きな悲劇が起こる。それは1997年の物語であり、2026年の今を生きる私たちの物語でもある。アニメ版『ナウシカ』では描けなかった、漫画版ナウシカの世界の本質がここにある。

「共に生きよう」——アシタカの言葉は、分断の時代を生きる私たちへの、宮崎駿からの遺言なのかもしれない。

⭐ 作品の特徴

項目評価
ストーリー★★★★★
映像美★★★★★
音楽★★★★★
キャラクター★★★★★
テーマの深さ★★★★★
エンタメ性★★★★☆

うさぎ亭的おすすめ度

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐

10.0 / 10

宮崎駿が「ナウシカの先」を描いた、生涯ベスト級の傑作。

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