「死にたい」と思っていた夜、ふと目にしたアイドルの笑顔に命を救われる。
そんな経験が、あなたにはあるだろうか?
映画『あの頃。』は、まさにそんな「推し」に救われた男たちの物語だ。主演の松坂桃李が「イケメンオーラを完全に消し去った怪演」を見せることでも話題になった本作。
ハロプロオタクたちの、あまりにも馬鹿らしく、痛々しく、けれど涙が出るほど愛おしい青春。かつて何かに熱狂し、そして大人になってしまった全ての人に捧ぐ、遅れてきた青春映画の傑作を紹介する。
この作品を3行で
- 松坂桃李の目からハイライトが消えた!リアルすぎるオタク演技
- 「推し」という共通言語で繋がった男たちの馬鹿騒ぎと友情
- 楽しかった宴の後。誰もが経験する「青春の終わり」に涙する
🎬 予告編
作品情報
- 作品名:あの頃。
- 公開年:2021年
- 監督:今泉力哉
- 原作:劔樹人『あの頃。 男子かしまし物語』
- 出演:松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也 ほか
- 上映時間:119分
📖 あらすじ(ネタバレなし)
大学院受験に失敗し、彼女も金もなく、どん底の生活を送っていた劔(つるぎ/松坂桃李)。ある日、友人から渡されたDVDで松浦亜弥(あやや)のMVを目にした彼は、画面の中の輝きに釘付けになり、ボロボロと涙を流す。
吸い寄せられるようにハロプロのイベントに参加した彼は、そこで個性豊かなオタクたちと出会う。プライドが高く癖の強いコズミン(仲野太賀)をはじめとした仲間たちと「恋愛研究会。」を結成。何者にもなれない男たちの、遅れてきた青春の日々が幕を開ける。
✨ 『あの頃。』の魅力
ここがすごい!
- 「推しがいる」という救いを描いた冒頭
- 無駄で愛おしい「生産性ゼロ」の時間
- 残酷で美しい「青春の終わり」の描写
魅力①:「推し」という絶対的な救い
本作の白眉は、なんといっても冒頭だ。死んだような目で生きていた主人公が、あややのMVを見た瞬間に涙を流す。
「推し」がいること。それがどれだけ人生の支えになり、明日を生きる活力になるか。理屈ではない、魂が救済される瞬間が痛いほど伝わってくる。オタクならずとも、何かに夢中になったことがある人なら、このシーンだけで胸が締め付けられるはずだ。
魅力②:無駄で愛おしい時間
主人公たちが結成する「恋愛研究会。」の活動は、側から見れば痛々しい。狭い部屋に男たちが集まり、朝までハロプロについて語り合うだけ。社会的な生産性は皆無だ。
だが、「好き」が同じ仲間と過ごすその時間こそが、人生においてどれほど尊く、かけがえのないものか。松坂桃李や仲野太賀らが、本来のキラキラしたオーラを消し去り、リアルな「目」と「空気感」で演じ切っているからこそ、彼らの馬鹿騒ぎが羨ましく見えてくる。
魅力③:青春の終わりの描写
タイトルが『あの頃。』である通り、この映画は「現在進行形」ではなく「過去」の物語だ。
最高に楽しかった祭りのような日々は、いつか終わる。それぞれが年齢を重ね、家庭を持ち、現実に向き合っていく。誰もが避けて通れない「祭りの後」の寂しさまでしっかり描かれている点に、胸を打たれる。
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😅 ここが惜しい…(注意点)
直視できない「黒歴史」感
本作のリアリティは、時に刃となって視聴者を襲う。「恋愛研究会。」の行動には、学園祭への乱入や女性に対するデリカシーのない発言など、現代の感覚で見ると「悪ノリ」では済まされないラインのものも多い。
ここが残念…
- オタク特有の「身内ノリ」が強烈すぎる場面も
- 倫理的に眉をひそめる行動があり、共感性羞恥を刺激される
🎭 印象的なシーン:コズミンの生き様
「明日も、明後日も、みんなでバカ笑いできれば、それでよかった」
ムードメーカーであり、トラブルメーカーでもあったコズミン(仲野太賀)の闘病。重い現実を前にしても、彼を支えたのはやはりハロプロであり、仲間たちとのバカ話だった。
湿っぽくなりすぎず、最後まで彼ららしいノリで送り出す姿に、この関係性の深さが凝縮されている。
こんな方におすすめ!
- 今現在「推し」がいて、その存在に救われた経験がある人
- 青春時代が終わり、家庭や仕事に追われるようになった世代
- 男性同士の、ウェットすぎないが強固な友情物語を見たい人
📺 『あの頃。』はどこで見れる? 配信状況
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📊 配信サービス比較
| 配信サービス | 配信状況 | 料金 |
|---|---|---|
| Amazon Prime Video | 見放題 / レンタル | 月額600円 |
| Netflix | 見放題 | 月額790円〜 |
| U-NEXT | 見放題 | 月額2,189円 |
| Hulu | 配信なし | 月額1,026円 |
🎬 『あの頃。』が好きなら絶対見るべき3選
『あの頃。』の「終わらない青春への渇望」や「無駄な情熱」に心を動かされたあなたに、絶対に見てほしい3作品を厳選。
1️⃣ キッズ・リターン(1996年)
北野武監督による「終わらない青春」の最高傑作。落ちこぼれの二人が挫折を経て再会するラストシーンのセリフ、「俺たちもう終わっちゃったのかな?」「まだ始まってもいねえよ」は、『あの頃。』の登場人物たちが心の奥底で叫びたかった言葉そのものだ。
2️⃣ 夜は短し歩けよ乙女(2017年)
湯浅政明監督のアニメ作品。「詭弁踊り」や謎のサークル活動に無駄な情熱を注ぐ京都の大学生たち。その姿は『あの頃。』のハロプロオタクたちのメンタリティと完全にリンクする。「腐れ大学生」特有の、無意味で熱いノリが心地よい一作。
3️⃣ ジャージー・ボーイズ(2014年)
クリント・イーストウッド監督作。グループが結成され、最高に楽しい時期を過ごし、やがて大人になってバラバラになっていく構成が共通している。ラストで感じる「あの時間は二度と戻らないけど、最高だったな」という美しい余韻を、極上の音楽と共に味わってほしい。
📝 まとめ
『あの頃。』は、単なるアイドルオタクの映画ではない。それは、誰の心にもある「かつて何かに熱狂した季節」への鎮魂歌(レクイエム)だ。
倫理的に擁護できない「痛さ」もある。けれど、だからこそリアルだ。今、日々に疲れているあなたこそ、彼らの「しょうもない青春」に触れてみてほしい。きっと、明日を生きるための小さな光が見つかるはずだ。
うさぎ亭的おすすめ度
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆☆
7.0 / 10
オタクなら涙なしには見られない傑作。
ただし「痛い」描写への耐性は必須!
青春の終わりを噛み締めたい夜に。