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【傑作】映画『EUREKA ユリイカ』感想|3時間37分、魂を癒やす旅と宮崎あおいの原点

「3時間37分」。

映画を見る前、この上映時間に尻込みする人は多いだろう。だが、断言する。この長大な時間は、登場人物たちが抱える深い傷を癒やすためにどうしても必要な時間だったのだと。

今回は、青山真治監督の最高傑作であり、カンヌ国際映画祭で世界を震わせた名作『EUREKA(ユリイカ)』を紹介する。これは単なる映画ではない。見終わった後、あなたの魂までもが浄化されるような、一生に一度の「映像体験」だ。

この作品を3行で

  • バスジャック事件生存者3人の再生の物語
  • 全編セピア色で描かれる圧倒的な映像美
  • 当時15歳の宮﨑あおいの凄まじい存在感

🎬 予告編

作品情報

  • 作品名:EUREKA(ユリイカ)
  • 公開年:2001年(日本公開)
  • 監督:青山真治
  • 主要キャスト:役所広司、宮崎あおい、宮崎将、斉藤陽一郎
  • 上映時間:217分(3時間37分)

📖 『EUREKA』あらすじ

九州の地方都市で起きた凄惨なバスジャック事件。犯人は射殺されたが、生き残ったのは運転手の沢井(役所広司)と、中学生の兄妹・直樹(宮崎将)と梢(宮﨑あおい)のたった3人だけだった。事件は彼らの心に消えない傷を残し、彼らは社会から孤立していく。

事件から2年後。家族を捨て、一人で戻ってきた沢井は、両親を失い二人きりで暮らす兄妹の家を訪れる。奇妙な共同生活が始まり、やがて彼らは中古のバスを改造し、あてのない旅へと出発する。それは、奪われた「生」を取り戻すための、魂の巡礼のような旅だった。

✨ 時間を忘れる映像体験。この作品の魅力

ここがすごい!

  • セピア色の映像と長回しが生む没入感
  • セリフを超えた「回復」のプロセス
  • 15歳の宮﨑あおいが見せる伝説的な演技

魅力①:圧倒的な映像美と「時間」の演出

本作の最大の特徴は、全編セピア色(モノクロに近いカラー)で描かれる映像世界だ。ワイドスクリーンいっぱいに広がる九州の雄大な風景と、極端にセリフを削ぎ落とした長回しのカットは、息を呑むほど美しい。

物語は非常にゆっくりと進む。しかし、その緩やかさこそが、傷ついた彼らの心情に寄り添うために機能している。「退屈」ではない。ただ景色を眺めているだけの時間がこれほど豊かに感じられる映画は、世界中を探しても稀有だろう。映画という枠を超えた一つの「体験」として、身を委ねてほしい。

魅力②:「回復」へのプロセス

他者の介入を拒絶し、世間から孤立した3人。彼らは、同じ傷を持つ者同士でしか共有できない「沈黙」の中で、少しずつ心を通わせていく。

言葉による慰め合いなど一切ない。ただそばにいて、バスを改造し、旅に出る。その展開は、彼らが再び社会と関わるためのリハビリであり、生き直すための儀式のようにも見える。傷ついた人間がどうやって立ち上がるのか、その繊細なプロセスを描き切った脚本が秀逸だ。

魅力③:役者陣の凄まじい存在感

主演の役所広司の抑えた演技はもちろん素晴らしいが、特筆すべきは当時15歳の宮﨑あおい(妹・梢役)の存在感だ。

劇中、彼女にセリフはほとんどない。しかし、そのすべてを見透かすような「目」と佇まいだけで、抱えた傷の深さと、奥底にある微かな希望を体現している。彼女の実質的なデビュー作にして、すでに最高到達点の一つと言っても過言ではない演技を目撃してほしい。

深いテーマ

理不尽な暴力によって日常を奪われた人間は、どうすれば「生」を取り戻せるのか? 本作は「癒やし」という安易な言葉ではなく、魂が再び呼吸を始めるまでの「再生」の軌跡を丹念に描いている。

🎭 印象的なシーン

「死ぬなよ。絶対に」

物語の終盤、旅の終わりに訪れる沢井と兄・直樹の対峙シーン。バスジャック事件によって心に「怪物」を飼ってしまった直樹と、それを必死に止めようとする沢井が魂をぶつけ合う。

3人の穏やかな共同生活で積み上げた信頼と、それでも消えない殺意や絶望が衝突するこの場面は、映画史に残る緊張感だ。言葉少なな彼らが、全身全霊で伝えようとするメッセージに胸が締め付けられる。

💭 視聴後の感情

3時間37分を見終えた後、疲労感はない。あるのは、静かな感動と、自分自身の心までもが洗われたような「浄化」の感覚だ。長いトンネルを抜けて、ようやく本当の青空を見たときのような、不思議な安らぎに包まれるだろう。

こんな方におすすめ!

  • 映画に「物語」だけでなく「体験」を求める人
  • 宮﨑あおいのファン(彼女の原点はここにあります)
  • 静かで深い人間ドラマに浸りたい人
  • ロードムービーが好きな人

こんな方には向かないかも…

  • テンポの良い娯楽作を求めている人
  • 3時間半、画面に向き合う時間と体力がない時

📺 『EUREKA』はどこで見れる? 配信状況

視聴はこちらから

📊 配信サービス比較

配信サービス配信状況料金
U-NEXT見放題月額2,189円
Amazon Prime Videoレンタル / チャンネル300円〜 / 月額600円
Netflix配信なし月額790円〜
Hulu配信なし月額1,026円

🎬 『EUREKA』が好きなら絶対見るべき3選

この作品の持つ「静寂」「癒やし」「圧倒的な映像美」に心を動かされたあなたへ。次に観るべき、魂を揺さぶる名作を紹介する。

1️⃣ リリイ・シュシュのすべて(2001年)

岩井俊二監督作。『EUREKA』とほぼ同時期に公開された、私の中で対をなす映画だ。地方都市の閉塞感、若者が抱える行き場のない痛み、そして残酷なまでに美しい「エーテル」な映像美。この痛みに共鳴できるなら必見だ。

2️⃣ 長江哀歌(2006年)

中国のジャ・ジャンクー監督作。『EUREKA』の魅力である「圧倒的な映像美」と「ゆったりと流れる時間」を楽しめるなら、この作品は確実に刺さる。雄大な長江の風景と、そこで生きる人々の静かなドラマに圧倒されるだろう。

3️⃣ レオン(1994年)

一見ジャンルは違うが、「社会から外れた孤独な二人」が身を寄せ合って生きる姿は、沢井と梢の関係性に通じるものがある。アクション映画だが、根底にあるのは切ない愛と再生の物語だ。

📝 まとめ

映画『EUREKA(ユリイカ)』は、見る人に覚悟と体力を求める作品かもしれない。しかし、その3時間37分を捧げた者だけが得られる、深く静かな感動がここにある。

忙しない日常を忘れ、自分自身の心と向き合いたい時。このバスに乗り込み、彼らと共に魂の再生の旅に出てみてはいかがだろうか。

うさぎ亭的おすすめ度

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐

10 / 10

個人的には欠点なしの満点。
ただし「楽しい映画」ではない。
魂を癒やしたい全ての人へ。

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