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『オッペンハイマー』日本人が観るべき理由とは?感想レビュー

※本ページはプロモーションが含まれています

「我は死神なり、世界の破壊者なり」——古代インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』の一節を、原爆実験成功の瞬間に思い浮かべた男がいる。

J・ロバート・オッペンハイマー。「原爆の父」と呼ばれ、第二次世界大戦を終結させた英雄として称えられた天才物理学者。しかしその栄光の裏側には、科学者としての好奇心と、人類を破滅へ導きかねない発明への倫理的葛藤が渦巻いていた。クリストファー・ノーラン監督が3時間という長尺で描き出したのは、単なる偉人伝ではない。「知の探求はどこまで許されるのか」という、現代を生きる我々への問いかけだ。

🎬 予告編

この作品を3行で

  • 原爆を生み出した天才科学者の栄光と転落
  • 「正義」と「罪」の境界線を問う3時間の没入体験
  • アカデミー賞7冠、ノーラン監督の集大成

作品情報

  • 作品名:オッペンハイマー(Oppenheimer)
  • 公開年:2023年(日本公開:2024年3月29日)
  • 監督:クリストファー・ノーラン
  • 上映時間:180分
  • 主演:キリアン・マーフィー、ロバート・ダウニー・Jr.、エミリー・ブラント
  • 受賞:第96回アカデミー賞 作品賞・監督賞・主演男優賞ほか計7部門

📖 科学者の野望と苦悩を描くあらすじ

第二次世界大戦下のアメリカ。ナチス・ドイツが核分裂を発見し、原爆開発で先行しているとの情報が入る。焦る米政府は極秘プロジェクト「マンハッタン計画」を立ち上げ、その科学部門のリーダーに一人の天才物理学者を据えた。J・ロバート・オッペンハイマー。彼は荒野に研究都市を建設し、世界中から頭脳を集め、人類史上最も破壊的な兵器の完成を目指す。

1945年7月16日、ニューメキシコ州の砂漠で行われた「トリニティ実験」。閃光が走り、数秒の沈黙の後、轟音と爆風が大地を揺るがす。原爆は完成した。そしてわずか3週間後、広島と長崎に投下される。戦争は終結し、オッペンハイマーは英雄として称えられた。しかし彼の心には、消えることのない影が落ち始めていた——。

✨ 『オッペンハイマー』感想レビュー|この作品の魅力

ここがすごい!

  • キリアン・マーフィーの「目」が語る、言葉にならない苦悩
  • ロバート・ダウニー・Jr.が演じる「小さな男」の怖さ
  • 「会話劇」なのに息を呑むサスペンス——ノーランの新境地

キリアン・マーフィーの「目」が語る、言葉にならない苦悩

本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞したキリアン・マーフィー。彼の演技の真髄は、台詞ではなく「目」にある。

原爆投下後、勝利を祝う群衆の前でスピーチするオッペンハイマー。拍手喝采を浴びながら、彼の蒼い瞳には別の光景が映っている。皮膚が剥がれ落ちた人々、炭と化した遺体、閃光とともに消えゆく命——。歓声と悲鳴が混濁する幻覚の中で、彼の顔から血の気が引いていく。あの「目」だけで、オッペンハイマーが背負った十字架の重さが、痛いほど伝わってくる。

ロバート・ダウニー・Jr.が演じる「小さな男」の怖さ

本作のもう一人の主役と言っていいのが、ロバート・ダウニー・Jr.演じるルイス・ストローズだ。アメリカ原子力委員会の委員長であり、オッペンハイマーを追い落とす黒幕。

彼が恐ろしいのは、国家の威信や正義のためではなく、個人的な嫉妬と屈辱から天才を陥れようとする点だ。かつてオッペンハイマーに公の場で恥をかかされたという、それだけの理由で。大きな歴史の転換点が、実は矮小な人間の感情で動いている——その構図が、本作を単なる偉人伝から「人間の業」を描くドラマへと昇華させている。

「会話劇」なのに息を呑むサスペンス——ノーランの新境地

『ダークナイト』『インセプション』『TENET』——ノーラン監督といえば、複雑な時間軸と派手なアクションのイメージが強い。しかし本作は、上映時間の8割が「人が喋っているだけ」の会話劇だ。

それでも3時間があっという間に過ぎる。聴聞会での尋問、科学者たちの議論、政治家との駆け引き。一言一言が銃弾のように飛び交い、観る者の神経を張り詰めさせる。派手な爆発がなくても、これほどの緊張感を生み出せるのかと、ノーランの新境地を見せつけられた。

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こんな方におすすめ!

  • 「正義とは何か」「科学者の責任とは」といった倫理的問いに向き合いたい人
  • 第二次世界大戦、冷戦、赤狩りといった20世紀アメリカ史に興味がある人
  • 「娯楽映画」ではなく「体験」としての映画を求める人

📺 『オッペンハイマー』はどこで見れる?配信状況

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😅 ここが惜しい…正直に感じた不満点

ここが残念…

  • 時系列シャッフルが「難解さ」ではなく「分かりにくさ」になっている部分も
  • 3時間という長尺——後半の聴聞会パートで集中力が途切れがち
  • 日本人としては「被爆地の描写がない」ことへの複雑な感情が残る

時系列シャッフルの功罪

ノーラン監督の十八番である時系列の入れ替え。本作ではオッペンハイマーの視点(カラー映像)とストローズの視点(モノクロ映像)が交互に描かれ、さらに過去と現在が頻繁に行き来する。

この手法自体は効果的な場面もあるが、正直なところ「今、いつの話?」と混乱する瞬間が何度かあった。登場人物も多く、事前に歴史的背景を予習していないと置いていかれる可能性がある。

3時間の長尺をどう乗り越えるか

前半のマンハッタン計画パートは緊張感があり、トリニティ実験のシーンは圧巻。しかし後半の聴聞会パートは、人によっては冗長に感じるかもしれない。政治ドラマとしては秀逸だが、エンタメ的なカタルシスを求める人には向かない

日本人として、どう受け止めるか

本作は徹底して「オッペンハイマーの視点」で描かれる。そのため、広島・長崎の惨状は直接映されない。これをノーラン監督の誠実な配慮と見るか、物足りなさと見るかは、観る者によって評価が分かれるだろう。

個人的には、あえて「見せない」ことで、観客自身に想像させる余地を残したのだと解釈している。しかし同時に、唯一の被爆国の国民として、複雑な感情が残るのも事実だ。

🎭 印象的なシーン・セリフ

「我は死神なり、世界の破壊者なり」

トリニティ実験成功の瞬間、オッペンハイマーの脳裏に浮かんだ『バガヴァッド・ギーター』の一節。科学の勝利と、取り返しのつかない罪の自覚が同時に押し寄せる、本作の核心を貫くセリフだ。

「いつか人々は君を許すだろう。でもそれは君のためじゃない。彼ら自身のためだ」

映画のラスト、アインシュタインがオッペンハイマーに告げる言葉。人類は核兵器を持つことの罪を背負い続けなければならない——その冷徹な予言が、観る者の胸に深く突き刺さる。

💭 視聴後の感情

観終わった後、しばらく言葉が出なかった。「傑作だ」と手放しで称えることもできず、かといって「問題作だ」と切り捨てることもできない。日本人として複雑な感情を抱えながらも、それでも「観てよかった」とは思える。科学者の好奇心と倫理観の葛藤という普遍的なテーマは、AIが急速に発展する現代にこそ響くものがある。

こんな方には向かないかも…

  • 派手なアクションやスカッとするエンタメを求めている人
  • 3時間の長尺に耐えられない人
  • 事前予習なしで気軽に観たい人

サウンドトラック購入先

作曲はルドウィグ・ゴランソン。弦楽器を刻みまくる焦燥感あふれるスコアが、3時間の緊張感を支えている。

🎬 『オッペンハイマー』が好きなら絶対見るべき3選

インターステラー

同じくクリストファー・ノーラン監督のSF大作。人類の存亡をかけた宇宙探査という壮大なスケール感、科学と人間ドラマの融合という点で『オッペンハイマー』と共通する。「父と娘の絆」という感情的な軸がある分、こちらの方がエンタメとして観やすい。ノーラン入門としてもおすすめだ。

ドリーム

NASAの宇宙開発を支えた黒人女性数学者たちの実話。科学者の功績と、時代の偏見・差別との闘いという構造が『オッペンハイマー』と類似している。ただしこちらは爽やかな感動作なので、重たい気持ちを引きずりたくない人はこちらを先に。

プライベート・ライアン

※この予告編は英語版です
スティーブン・スピルバーグ監督の戦争映画の金字塔。『オッペンハイマー』が原爆開発の「裏側」を描いたとすれば、こちらは第二次世界大戦の「最前線」を描く。冒頭20分のノルマンディ上陸作戦のシーンは、映画史に残る衝撃映像。戦争の倫理的問いという点でも、セットで観る価値がある。

📝 まとめ|日本人が『オッペンハイマー』を観るべき理由

『オッペンハイマー』は、万人に勧められる「傑作」とは言い難い。3時間という長尺、複雑な時系列、そして日本人として避けて通れない感情の引っかかり。それでも、「観てよかった」と言える映画だ。

科学者の好奇心と倫理観の葛藤——このテーマは、AIが急速に発展し、核の脅威が再び世界を覆い始めた現代にこそ響く。「知の探求はどこまで許されるのか」という問いに、我々一人一人が向き合う必要がある。その入り口として、本作は観る価値がある。

⭐ 作品の特徴

項目評価
ストーリー★★★★☆
映像・演出★★★★★
俳優の演技★★★★★
音楽★★★★☆
観やすさ★★★☆☆

うさぎ亭的おすすめ度

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆☆

7.0 / 10

観てよかった。しかし、日本人として複雑な感情も残る一作。

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