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『マトリックス』解説|AI時代の今こそ響く「赤い薬」の選択

※本ページはプロモーションが含まれています

1999年、映画館の座席で脳が焼き切れるような衝撃を受けた。

スローモーションで飛んでくる銃弾、極限まで身体を反らせて避けるネオ、緑の文字列が流れ落ちるモニター——。『マトリックス』は、映画の「見え方」そのものを書き換えた作品だ。ウォシャウスキー姉妹が「攻殻機動隊の実写版をやりたい」とワーナーに売り込んで生まれたこの映画は、日本アニメの哲学とハリウッドのスケールを融合させ、世紀末の映画ファンの脳を直接揺さぶった。そしてAIが日常に溶け込んだ現在、「仮想現実に囚われた人類」という設定は、かつてないほどリアルに響く。

🎬 予告編

📌 この作品を3行で

この作品を3行で

  • 映画史を塗り替えた「バレットタイム」の衝撃
  • 日本アニメ(攻殻機動隊・AKIRA)への愛が生んだ傑作
  • AI時代の今こそ響く「現実とは何か」の問い

作品情報

  • 作品名:マトリックス(The Matrix)
  • 公開年:1999年
  • 監督:ラナ・ウォシャウスキー、リリー・ウォシャウスキー
  • 上映時間:136分
  • 出演:キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング
  • 受賞:アカデミー賞4部門(視覚効果賞、編集賞、音響賞、音響編集賞)

📖 世紀末に現れた「目覚めの物語」——あらすじ

大手ソフトウェア会社に勤めるプログラマー、トーマス・アンダーソン。表向きは平凡なサラリーマンだが、裏では天才ハッカー「ネオ」として名を馳せていた。彼は常に、「この現実は本当に現実なのか?」という漠然とした違和感を抱えて生きていた。

ある夜、謎の美女トリニティに導かれ、伝説のハッカー・モーフィアスと出会う。そこで告げられた真実——人類が「現実」だと思い込んでいる世界は、コンピュータが作り出した仮想現実「マトリックス」だった。本当の現実では、人類は機械に支配され、発電用の「電池」として培養されている。モーフィアスはネオこそが人類を解放する「救世主」だと信じ、彼を目覚めさせる。果たしてネオは、世界を変える力を持つのか——。

✨ なぜ『マトリックス』は映画史を変えたのか——3つの魅力

ここがすごい!

  • 120台以上のカメラで撮影された「バレットタイム」の衝撃
  • 『攻殻機動隊』『AKIRA』——日本アニメへのリスペクトが生んだ傑作
  • 東洋哲学とハリウッドアクションの奇跡的融合

映画の「見え方」を書き換えた——バレットタイムの衝撃

『マトリックス』を語るうえで避けて通れないのが、「バレットタイム」と呼ばれる革新的な映像表現だ。被写体の周囲に120台以上のカメラを配置し、それぞれを順番に連続撮影することで、「動きはスローモーションなのに、カメラは高速で移動する」という、それまで誰も見たことのない映像が生まれた。

ネオが身体を極限まで反らせて銃弾を避けるあのシーン。空気を切り裂く弾丸の軌跡が可視化され、カメラがネオの周囲をぐるりと回り込む。映画館で観た観客の脳が、一斉にバグを起こした瞬間だった。この技術はその後、数え切れないほどの映画やCM、MVに引用され、アクション映画の文法そのものを書き換えることになる。

日本アニメなくして『マトリックス』は存在しなかった

ウォシャウスキー姉妹(当時は兄弟)がワーナーに企画を持ち込んだ際、こう説明したという——「『攻殻機動隊』の実写版をやりたい」と。実際、本作には押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)の影響が色濃く反映されている。冒頭のトリニティが窓から飛び降りるシーン、緑の文字列が流れるビジュアル、そして「肉体と精神の境界」という哲学的テーマ。

さらに、バレットタイムの着想は大友克洋の『AKIRA』(1988年)から得たと、監督自身が明言している。日本のアニメーションが切り拓いた「映像で哲学を語る」という手法を、ハリウッドのスケールで実現したのが本作だ。日本のクリエイターへのリスペクトが、世界を変える映画を生んだ。

「スプーンは存在しない」——東洋哲学との融合

派手なアクションの裏で、本作には老荘思想や禅の教えが通奏低音のように流れている。「世界を変えようとするな。自分の認識を変えろ」——この東洋的な発想が、ハリウッドのSFアクションと奇跡的に融合した。

預言者オラクルの家で、坊主頭の少年がスプーンを曲げながら告げる台詞がある。「スプーンを曲げようとしてはダメだ。そんなものは存在しないのだから。曲がるのはスプーンじゃない。自分自身だ」——難解に聞こえるかもしれないが、アクションを通じて身体で理解できる。それが本作の凄みだ。

🎭 印象的なシーン

本作には、映画史に残る名シーンが詰まっている。中でも強烈に記憶に刻まれるのは、モーフィアスがネオに「選択」を迫る場面だ。

「青い薬を飲めば、話は終わる。ベッドで目覚め、元の暮らしが待っている。赤い薬を飲めば、ウサギの穴の奥底へ降りていける」

この「赤い薬か、青い薬か」という選択は、作品を超えて現代の言葉になった。「知らないままでいる幸福」と「苦くても真実を知る勇気」——観客自身も問われている気がした。

そしてクライマックス。一度は倒れたネオが、トリニティの愛の言葉で覚醒し、「No」の一言で世界のルールを書き換える。飛んでくる銃弾を片手で止め、空中で静止させる。弾丸が地面に落ちる音——救世主の誕生を、観客は目撃した。

💭 視聴後の感情

1999年、映画館を出たとき、現実の街並みがどこか嘘っぽく見えた。「この世界も、誰かにプログラムされた仮想現実なんじゃないか?」——そんな感覚が、しばらく抜けなかった。

そしてAIが日常に溶け込んだ2020年代に観返すと、「機械に支配される人類」という設定が、かつてないほどリアルに響く。私たちは本当に「目覚めて」いるのか?——25年経った今も、この問いは古びていない。

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こんな方におすすめ!

  • 『攻殻機動隊』や『AKIRA』など日本のサイバーパンクアニメが好きな人
  • 90年代〜2000年代の映画を「古い」と敬遠している若い世代
  • アクション映画は好きだが、頭を使う作品も観たい人

😅 ここが惜しい…正直な不満点

傑作であることは間違いないが、手放しで絶賛できない部分もある。正直に書いておく。

ネオとトリニティの恋愛展開が唐突

ここが残念…

  • 二人の会話シーンはほとんどないのに、突然の「愛している」告白
  • キスで生き返る展開は、ディズニー映画かと突っ込みたくなる

ネオとトリニティの恋愛は、正直なところ唐突に感じる。二人がじっくり会話するシーンはほとんどなく、いつの間にかトリニティは「愛している」と告白している。そしてキスで死の淵から生き返るという展開は、運命に抗う物語なのに恋愛だけは運命的、という捻れを生んでしまっている。

「救うべき対象」を撃ち殺す倫理的問題

マトリックス内の警官や軍人は、ネオたちが「救うべき人々」のはずだ。しかし劇中では容赦なく銃撃し、殺しまくる。「システムの一部だから仕方ない」という理屈は、ヒーロー映画としては違和感が残る。派手なアクションの爽快感で誤魔化されているが、冷静に考えると引っかかる部分だ。

初見では置いてけぼりになる複雑さ

仮想現実と現実の行き来、プラグの仕組み、エージェントの正体など、説明が追いつかず「よくわからないまま終わった」という人も多い。複数回観ることで理解が深まる作品だが、初見のハードルはやや高い。

25年の歳月による映像の古さ

CGの粗さや、ワイヤーアクションの「吊られてる感」は、今の目で観ると気になる箇所もある。ただしこれは「古い」というより「時代の記録」として楽しむべきかもしれない。当時の技術でここまでやったという事実こそが、本作の価値だ。

こんな方には向かないかも…

  • 複雑な設定の説明なしに楽しめる作品を求めている人
  • 恋愛描写の丁寧さを重視する人
  • 最新のCG技術に慣れすぎて90年代の映像に耐えられない人

サウンドトラック購入先

  • Spotify:配信あり(The Complete Score)
  • Apple Music:配信あり(25周年記念エディション)

🎬 『マトリックス』が好きなら絶対観るべき3選

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊(1995年)

ウォシャウスキー姉妹が「これの実写版をやりたい」とワーナーに売り込んだ、まさに『マトリックス』の源流。「肉体と精神の境界とは何か」という問いを、静謐な映像美で描いた押井守監督の傑作。本作を観てから『マトリックス』を観返すと、どれだけ影響を受けているかが一目瞭然だ。

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のレビュー記事を読む

インセプション(2010年)

クリストファー・ノーラン監督が「夢の中の夢」という多層構造で観客の脳を揺さぶった、『マトリックス』の精神的後継作。「現実か夢か、どうやって区別するのか」というテーマは、まさに本作と通底している。レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙ら豪華キャストも魅力。

13F(1999年)

『マトリックス』と同じ1999年に公開された、もうひとつの仮想現実映画。派手なアクションではなく、SF的アイデアの緻密さで勝負する作品。「キアヌには勝てないが、SFとしては『13F』の方が圧倒的に面白い」という声も多い隠れた名作。本作が好きなら必見。

📺 『マトリックス』はどこで見れる?配信状況

視聴はこちらから

📊 配信サービス比較

サービス配信状況無料体験
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👉 各サービスの詳細な違いはVOD比較7社徹底解説を参照。

📝 まとめ——「赤い薬」を飲む勇気

『マトリックス』は、単なる「カッコいいアクション映画」ではない。「今見ている世界は本当に現実なのか?」という、人類が古来から問い続けてきた哲学的命題を、ハリウッドのスケールとテクノロジーで可視化した作品だ。

1999年、世紀末の空気の中で公開されたこの映画は、『ファイト・クラブ』『トゥルーマン・ショー』と並び、「ふやけた日常から目を覚ませ」というメッセージを世界中に発信した。そしてAIが日常に溶け込んだ現在、「機械に支配される人類」という設定は、SFではなく予言に見えてくる。あなたは、赤い薬を飲む勇気があるか?

⭐ 作品の特徴

項目評価
映像革新性★★★★★
アクション★★★★★
哲学的深み★★★★☆
キャラクター★★★★☆
恋愛描写★★★☆☆
初見の分かりやすさ★★★☆☆

うさぎ亭的おすすめ度

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆

8.6 / 10

映画館で脳を焼かれた、あの衝撃は一生モノだ。

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