『鬼滅の刃』立志編は何話から面白い?全26話の見どころ

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第1話で、家族が全員死ぬ。炭を売りに山を下りた竈門炭治郎が翌朝帰ってくると、母と弟妹が雪の上で息絶えていて、たった一人息のあった妹の禰豆子は鬼に変わりかけている。物語の出発点を作るのに何話もかけない。開始10分で、全部やる。この容赦のなさに胸ぐらを掴まれて、こちらは炭治郎に感情移入する以外の逃げ道を失ったまま26話を走らされることになる。

ただ、この26話がずっと同じ速度で走るわけではない。序盤で脱落しかけたという声は本当に多く、同じくらい多いのが「那田蜘蛛山から別の作品になった」という声だ。だから先に答えを置く。化けるのは15話と19話だ。

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2026年8月13日時点で、『鬼滅の刃』竈門炭治郎 立志編(全26話)は上記5社すべてで見放題だ。表に載せた5社のほかに、Netflix・dアニメストア・ABEMA・Leminoなど10以上のサービスも見放題で扱っている。ここまで配信先が広い作品はめずらしく、今すでに入っているサブスクでほぼ観られると思っていい。新規で入るなら無料体験が最長31日間のU-NEXTが、全26話を期間内に見終えやすい。配信状況は変動するため、最新情報は各サービスの公式サイトでも確認してほしい。

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配信先はわかった。問題はそのあとで、26話を走り切ると人はたいてい「次に何を観るか」で止まる。同じジャンプ発の熱量で、しかも一切ふざけずにふざけてくる一本を探しているなら、『ダンダダン』第1期が近い場所にある。

🎬 予告編

この作品を3行で

  • 大正時代、鬼に家族を殺された少年が刀を取る王道の少年漫画
  • ufotableの作画が全26話を通して一度も落ちない
  • 序盤は重いが、15話から作品そのものが別物になる

作品情報

  • 作品名:鬼滅の刃 竈門炭治郎 立志編
  • 放送年:2019年(全26話)
  • 原作:吾峠呼世晴(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
  • 監督:外崎春雄
  • アニメーション制作:ufotable
  • 音楽:梶浦由記・椎名豪
  • オープニング主題歌:「紅蓮華」/LiSA
鬼滅の刃 竈門炭治郎 立志編 ポスター
出典:TMDB

📖 あらすじ(ネタバレなし)

大正時代。山で炭を焼き、父を亡くしたあと母と弟妹を支えている少年・竈門炭治郎は、町へ炭を売りに行った日に日が暮れ、山を下りられず一晩を明かす。翌朝、家に戻った彼が見たのは、鬼に襲われて息絶えた家族の姿だった。ただ一人息のあった妹・禰豆子も、傷口から入った鬼の血によって人を喰う鬼に変わりかけていた。

禰豆子を人間に戻す方法を探すため、炭治郎は鬼を狩る組織「鬼殺隊」の門を叩く。2年の修行、生き残った者だけが隊士になれる最終選別、そして初めての任務。旅の途中で出会う我妻善逸と嘴平伊之助という二人の同期、鬼のなかでも別格の力を持つ「十二鬼月」、そしてすべての鬼を生み出した存在の影。26話をかけて物語は、炭治郎の旅が「妹を戻す」だけでは終わらないことを少しずつ示していく。

✨ 『鬼滅の刃』立志編の魅力

ここがすごい!

  • 全26話、作画のクオリティが一度も落ちない
  • 倒した鬼にはたいてい過去が用意されている
  • 炭治郎・善逸・伊之助の3人が全員違う方向に立っている
  • 19話で、映像と音楽と18話ぶんの積み上げが同時に鳴る

わかりやすさを、手抜きではなく本気でやり切った26話

この26話には、感情に字幕がついている。

炭治郎は思っていることをほぼ全部口に出す。恐怖も、決意も、後悔も、モノローグとセリフで流れてくる。文学的に言えば「説明しすぎ」で、行間を読ませる作りではまったくない。

だがこの選択は、観る側の負担を極端に軽くしている。集中して観ていなくても、皿を洗いながらでも、画面から目を離していても物語が入ってくる。子供でも置いていかれないし、日本語の細かいニュアンスを追えない海外の視聴者でも同じだ。国内で社会現象になり、そのまま世界中で通用した土台はここにある。

同じ〈元は人間だった人外と戦う〉題材なら『進撃の巨人』も『東京喰種』もある。あちらは前提を伏せ、情報を小出しにして、観る側に組み立てさせる。鬼滅は正面から逆をやった。悪は悪、鬼にも事情がある、その事情はその場で全部見せる。読解を一切要求しない代わりに、感情だけを全速力で運んでくる。

敵の置き方も同じ思想でできている。すべての鬼の元凶である鬼舞辻無惨が姿を見せるのは、なんと第7話だ。ふつう最終目標は終盤まで隠す。ここでは序盤で顔を割り、しかも人間の街で家族連れを装って歩かせている。誰と戦っているのかが7話で確定するので、残りの19話でこちらが迷子になることがない。

ただ、ここで正直に書いておくと、この徹底ぶりは本作最大の弱点と完全に同じ場所から出ている。その話は「ここが惜しい」でする。

19話で、それまでの18話が一気に回収される

第19話「ヒノカミ」。那田蜘蛛山の戦いの果てで、炭治郎は父の記憶にたどり着く。子供の頃に見た神楽の舞。年に一度、雪の中で父が延々と舞っていた、あの動き。

ここで映像と音楽が同時に鳴る。舞の残像が刀の軌跡に重なっていき、椎名豪 featuring 中川奈美による「竈門炭治郎のうた」が入ってくる。歌が入ってくる位置が異様に上手い。戦闘の最中に歌ものを乗せれば、普通は緊張が抜ける。ここでは逆に上がっていく。

そしてこの曲が効くのは、1話の雪を観ているからだ。父も神楽も、それまで物語の中心に一度も置かれていない。ただ静かに積んであっただけのものが、18話ぶんまとめて1点に落ちてくる。放送当時にSNSが騒然としたのはこの回で、いま鬼滅を語る人の多くがこの数分を起点にしている。

那田蜘蛛山だけは、テーマを説明せずに置いていった

「全部説明する作品だ」と書いたが、1箇所だけ例外がある。

那田蜘蛛山(15〜21話)の鬼・累は、蜘蛛の糸で他の鬼を縛り、「父」「母」「兄」「姉」の役を割り振って家族を演じさせている。役から外れれば罰する。そのすぐ隣に、炭治郎と禰豆子がいる。血のつながった兄と妹で、片方は鬼になっている。18話のサブタイトルが「偽物の絆」で、その回の中に本物が並べて置かれている。

「絆とは何か」という言葉は一度も出てこない。それでもテーマは立ち上がる。この密度で全編やっていたら、この作品はもう一段上の呼ばれ方をしていたと思う。

深いテーマ

この作品が「鬼を殺す物語」で終わらないのは、主要な鬼を斬ったあとに必ずその過去を見せるからだ。響凱も、累も、糸で縛られて家族にされていた鬼たちも、消える直前の数秒で人間だった頃に戻る。炭治郎はそれを見届けて、刀を納めたあとに手を合わせる。26話で反復されるうちに、この物語は「鬼を殺す話」から「鬼を悼む話」へ静かに移っていく。妹を人間に戻すという個人的な目的で始まった旅が、いつのまにか鬼という存在そのものへの態度の話になっている。

🎭 印象的なシーン

第1話・雪の中を、背負って走る

まだ息のある禰豆子を背負い、炭治郎が雪の斜面を駆け下りる。この作品の第一印象を決めるのはこのカットだ。雪の質感、足が沈む深さ、背中の重み。ufotableが何をやる集団なのかが、開始数分で全部わかる。

「俺は長男だから我慢できたけど、次男だったら我慢できなかった」

第13話。前の戦いで骨折したまま鼓の鬼・響凱に苦戦する、その最中に出てくる一言だ。笑いどころとして置かれてはいるが、負けかけている戦いのど真ん中にある。ネットミームにもなった。それでいて、この作品の芯が全部入っている。理屈になっていない理屈で自分を立たせる人間の話だと、このセリフ一つで説明が終わってしまう。

第19話・ヒノカミ神楽の円舞

言及するのは3回目になるが、それだけの場所だ。ここだけを観ても意味はない。1話から積んでこないと効かないように作ってある。

💭 観終わったあとに残るもの

26話を観終わったとき、頭に残っているのはたぶん戦闘ではなくキャラクターのほうだ。炭治郎の律儀さ、善逸のうるささ、伊之助の無茶。柱が9人並んだ22話にいたっては、まだ誰もほとんど喋っていないのに全員の顔と性格が入ってくる。鬼の側まで含めて、観た人それぞれに推しが1人はできる。これは物語の出来とは別の、キャラクターの立たせ方だけで達成されている強みだ。

そして、これがまだ導入の26話でしかないという事実が効いてくる。鎹鴉から次の任務を告げられ、無限列車に乗り込んで終わるラストは、正しく「幕開け」の顔をしている。

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こんな方におすすめ!

😅 ここが惜しい

1〜13話のテンポが、はっきり遅い

ここは擁護しない。修行に2話、最終選別と日輪刀の支給に2話、そこから任務の道中が続く。15話の那田蜘蛛山に着くまで、物語が大きく動く瞬間がほとんどない。1話の衝撃で掴んだ手を、そのあと10話以上ゆるく握り続けるような時間が実際にある。

だから「5話で切った」「8話で止まった」という報告があちこちに転がっている。これは観る側の忍耐の問題ではなく、単純に配分の問題だと思う。もし今その位置で止まっているなら、15話まで飛ばしてでも進んでほしい。そこから先は速度がまるで違う。

説明の多さと、技名を叫ぶ少年漫画のノリ

魅力のところで書いた「感情に字幕がついている」は、裏返すとそのまま不満になる。心情がほぼ全部言語化されるので、こちらが想像で埋める余白がない。行間を読む楽しみを求めて観ると、ずっと先回りされ続ける感覚になる。

個人的な好みを開示しておくと、技名を大声で叫んでから斬るという少年漫画の作法も、あまり得意ではない。「水の呼吸 壱ノ型」と宣言してから動く。緊迫した場面でこれをやられると、こちらの温度が一段下がる。

ただ、これを削れば鬼滅は鬼滅でなくなる。広く届くために選んだものが、そのまま不満点として現れているだけで、欠陥ではない。だから満点はつけないが、減点したという気持ちにもならない。

ここが残念…

  • 1〜13話は展開が遅く、脱落者が実際に多い
  • 心情のモノローグが多く、想像で埋める余白がほとんどない

こんな方には向かないかも…

  • 語られないものを察して読み取る余白がほしい人
  • 技名を叫んでから戦う少年漫画の作法が苦手な人

サウンドトラック購入先

19話の「竈門炭治郎のうた」を含む全42曲を収録。あの数分をもう一度浴びたいなら、こちらから。

🎬 「鬼滅の刃」立志編が好きなら絶対見るべき3選

呪術廻戦 第1期

立志編の翌年にアニメ化された、最も直系の後継。人ならざるものと戦う構造は共通しているが、敵の成り立ちは正反対だ。鬼滅の鬼が全員「元は人間」なのに対し、呪術廻戦の呪霊は人間の負の感情そのものから生まれてくる。人間だった記憶を最初から持たない相手と戦う。主人公の温度も違う。炭治郎が誰も見捨てない少年なのに対し、こちらの主人公は最初から自分の死に方を選ぼうとしている。鬼滅の律儀さが少し重かった人ほど、この乾いた感触が合う。MAPPAの戦闘作画も、ufotableとはまったく別の方向に振り切っている。

地獄楽

江戸時代末期、死罪人と処刑人が不老不死の仙薬を求めて島へ渡る。和装・刀・異形という道具立ては鬼滅と重なるが、こちらは誰が生き残るかまったく保証されていない。忍として育てられた主人公が「妻に会いたい」という一点だけで動くところは、炭治郎の一途さと同じ形をしている。鬼滅の残酷描写が平気だった人向け。逆に言えば、あれが限界だった人にはきつい。

サムライチャンプルー

大正の次に江戸へ行くなら、これしかない。渡辺信一郎監督が江戸時代にヒップホップを持ち込んだ全26話で、故Nujabesら4組のビートに乗せて、浪人と流刑地育ちの荒くれ者と少女の三人が旅をする。鬼滅が「感情を全部言う」作品だとすれば、こちらは何も言わない。同じ26話でも、余白の量が正反対に振れている。立志編を走り切って少し疲れた夜に効く。

👉 『サムライチャンプルー』のレビュー記事はこちら

📺 配信サービス別・視聴ガイド

『鬼滅の刃』立志編はどのサブスクで観るのがおすすめ?

結論から言うと、すでに何かのサブスクに入っているなら、まずそこを開けばいい。主要サービスはほぼ全社が見放題で扱っているので、この作品のために新規契約する必要はほとんどない。

これから入るなら、判断材料は3つだ。①無料体験の長さ:全26話を1話24分で観ると約10時間なので、体験期間内に十分終わる。最長はU-NEXT の31日間、次いでAmazon Prime Videoの30日間。②その先も続けるか:無限列車編・遊郭編・刀鍛冶の里編・柱稽古編まで続けて追うつもりなら、シリーズ全部を抱えている月額550円のDMM TVが安い。③アニメ以外も観るか:邦画・洋画・雑誌まで含めて使い倒すならU-NEXT、Disney+やHuluはそれぞれの独占作品目当てで入っているなら、そのまま観られる。

📚 原作情報

原作は吾峠呼世晴による漫画で、全23巻ですでに完結している(2020年12月4日発売の第23巻が最終巻)。立志編がアニメ化したのは、そのうち7巻の冒頭・第53話まで(全体のおよそ3割)。続きの劇場版『無限列車編』は、同じ7巻の第54話から始まる。アニメ派がこの先を追うなら映像を先に進めるのが素直だが、原作は原作で読む価値がある。作者の描くコマの余白と、随所に挟まる作者コメントの独特なゆるさは、アニメの完璧な作画とはまるで別の手触りをしている。1巻から読むなら以下から。

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▶ 続きは『無限列車編』レビューへ


劇場版とTV版のどっちで観るか、117分と全7話の違いから答える

📚 『鬼滅の刃』はなぜ流行ったのか


全63話の魅力と欠点、そして無限城編の先

📝 まとめ

『鬼滅の刃』立志編は、序盤13話を耐えられるかどうかで評価が真っ二つに割れる26話だ。実際、脱落者の多さも、その先で手のひらを返した人の多さも、どちらも同じくらい記録されている。15話の那田蜘蛛山、そして19話。ここまで来れば、この作品が何を積み上げてきたのかが一度に開く。もし今その手前で止まっているなら、そこだけは越えてから判断してほしい。

心情を全部セリフにする作りも、技名を叫んでから斬る作法も、行間を読みたい人には引っかかる。それでもこの26話は、これほど広く届いた理由をきちんと自分の中に持っている。そして最後まで観れば、これがまだ導入でしかないことがわかる。全部ひっくるめて、シリーズの出発点としては見事だった。伝説の幕開けというのは、たぶんこういう手触りのことを言う。

⭐ 作品の特徴

評価項目評価ひとこと
作画・映像★★★★★全26話で一度も落ちない
キャラクター★★★★★鬼側まで含めて全員立っている
音楽★★★★★19話の一点で全部持っていく
ストーリー★★★★☆王道。ひねりはない
テンポ★★☆☆☆序盤13話が明確に重い

うさぎ亭的おすすめ度

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆☆

7.4 / 10

15話まで進めば、あとは勝手に走らされる