『鬼滅の刃』柱稽古編は全8話|無限城編の前に観るべきか

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必要な8話だとは思う。ただ、8話かけてやる話だったのかは、観終わった今もよくわからない。『鬼滅の刃』柱稽古編は、鬼との斬り合いがほとんど起きない。炭治郎が柱のところを順番に回って稽古を受ける、それだけで7話が過ぎていく。この先に控えているのが無限城という引き返せない場所である以上、その手前で一度足を止めて戦力と気持ちを整えておく理由は分かる。分かるのだが、その疑問は最後まで席を立たなかった。

鬼滅の刃という物語の強みは、主人公が最初から超人ではないところにある。炭治郎は鍛えたぶんだけ強くなってきたし、その積み上げがあるから終盤の力にも納得がいく。柱稽古編はその納得を作るための編で、役割としては正しい。それでもシリーズを通して観てきたなかで、いちばん腑に落ちなかったのがこの8話だった。ただし最終話は例外だ。あの「始まるぞ」という感覚は異常だった。

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2026年8月21日時点の配信状況だ。柱稽古編は全8話がそろって見放題で、どこを選んでもレンタル課金を踏む場面はない。上の5社に加えてNetflix・dアニメストア・FODでも見放題の対象になっている。ここまで揃っていると、あとはどのサービスで観るかだけの問題になる。配信状況は変動するため最新情報は各サービスの公式サイトでも確認してほしい。

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ここまで来た人はもう気づいていると思うが、鬼滅は編ごとに手触りがかなり変わる。柱稽古編を「地味だった」で終わらせたくないなら、ひとつ前の刀鍛冶の里編と並べてみるといい。あちらも話が進まない編で、それでも人だけが動いていく。似た設計の11話と8話が続いていたことが見えてくる。

🎬 予告編

予告の時点で、柱がずらりと並ぶ絵が押し出されている。実際そのとおりの編で、稽古を通して柱を一人ずつ紹介していく構成になっている。

この作品を3行で

  • 全8話。鬼との戦いはほぼなく、稽古と会話だけで進む
  • 柱それぞれが何を抱えているのかが、初めて正面から描かれる
  • 最終話だけ別の作品のようにギアが上がる

作品情報

  • 作品名:テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編
  • 放送:2024年5月12日〜6月30日(全8話・初回は1時間スペシャル)
  • 監督:外崎春雄/アニメーション制作:ufotable
  • 原作:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』(集英社)
  • 音楽:梶浦由記・椎名豪
  • 主題歌:OP「夢幻」(MY FIRST STORY × HYDE)/ED「永久 -トコシエ-」(HYDE × MY FIRST STORY)
テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編 ポスター
出典:TMDB

📖 あらすじ・ネタバレなし

禰豆子が太陽を克服したことで、鬼の側の動きが変わる。無惨は禰豆子を狙って本格的に動きはじめ、鬼殺隊はそれを迎え撃つための総力戦に備えることになる。そこで始まるのが、柱が隊士を直接鍛える「柱稽古」だ。前の戦いで負った傷から回復した炭治郎も、その輪に加わることになる。

元柱・宇髄天元の基礎体力づくりから始まり、時透無一郎の高速移動、甘露寺蜜璃の柔軟、伊黒小芭内の太刀筋矯正、不死川実弥の打ち込み、そして悲鳴嶼行冥の筋力訓練へと続く。身体を追い込まれながら、炭治郎はそれぞれの柱が何を背負ってその座に就いたのかに触れていく。静かな時間が7話ぶん積み上がったところで、最後の一話が来る。

✨ この作品の魅力

ここがすごい!

  • 第8話の作画・音・情報量がシリーズでも最上位
  • 戦闘がないぶん、柱それぞれの内側に尺がまるごと使われる
  • コメディの比率が高く、シリーズで最も緊張がゆるむ編
  • 「受け継ぐ」というテーマが、戦闘抜きで正面から扱われる

最終話で、空気がまるごと入れ替わる

7話まではずっと稽古だ。汗をかき、笑い、また汗をかく。テンポは緩く、画面もどちらかといえば明るい。ところが第8話が始まった瞬間、同じシリーズとは思えないくらい空気が重くなる。画面の色数が減り、音が引き、人物が声を張らなくなる。誰も何も説明していないのに、これから取り返しのつかないことが起きると分かる。

特に効いているのが、静かな対話の場面だ。荒れた戦闘で盛り上げるのではなく、二人が向かい合って落ち着いて話しているだけなのに、こちらの呼吸が浅くなっていく。柱稽古編で最も緊迫するのが、剣を抜かない会話だというのが面白い。ufotableは派手さで押す手札をいくらでも持っているのに、ここでは逆をやっている。

そして終盤、ようやく画が動きだす。屋敷の描写も、そのあとに開ける場所の作り込みも、テレビシリーズの尺でやる密度ではない。この一話を観るために7話の稽古があったのだと言われれば、そうかもしれない。実際この編はのちに『鬼滅シアター』として劇場でも上映されている。最終話だけでも映画館で観たかったと思わせる出来だった。

ここで一つ正直に書いておくと、この落差は褒め言葉としてだけ受け取るべきではない。第8話が良すぎるせいで、2話から7話までの評価がまとめて引きずられる。あれだけの一話を最後に置けるのなら、途中の7話にもう少し何かできたのではないかという気持ちが、どうしても残ってしまった。

戦わない8話が、柱の中身を開けていく

鬼滅の柱は、これまで戦闘の場面でしか長く映ってこなかった。強い、格好いい、たまに変わっている。その程度の情報しか持たないまま名前だけ覚えていた人も多いはずだ。柱稽古編は、その柱たちを戦わせずに8話ぶん映し続ける。だから見えてくるものがある。

いちばん株が上がるのは悲鳴嶼行冥だ。鬼殺隊最強と言われながら、なぜ常に泣いているのかがずっと分からなかった。この編でその理由に当たる過去が語られる。目が見えないまま一晩戦い抜いて、それでも報われなかった夜の話だ。強さの由来が名誉ではなく理不尽の側にあると分かった瞬間、この人の見え方が完全に変わった。

冨岡義勇も、この編で初めて中身が見える。炭治郎がわざわざ家まで押しかけて過去を聞き出すのだが、この押しかけ方がまた無遠慮で笑ってしまう。重い過去を引き出す場面なのに、やっていることは家に居座って蕎麦を食う話になっている。この緩急が柱稽古編のいちばん良いところだ。

受け継ぐための時間として作られている

稽古というと技術の話に聞こえるが、この編で渡されているのは技術ではない。前に死んだ人が残した言葉や覚悟が、今生きている隊士に移っていく。煉獄が遺した言葉が炭治郎の中で生き続け、炭治郎が受け取ったものが名前も出ない隊士たちに広がっていく。柱稽古編は、鬼殺隊が千年かけて続けてきたことを8話に縮めて見せた編だ。

そう考えると、この編の位置がはっきりする。これは引き返せない坂の前にある、最後の平地だ。ここを過ぎたら全員が同じ方向に落ちていくしかない。だから今のうちに渡せるものを渡しておく。物語としては動かないのに、観終わったあとに残る手応えがあるのは、この受け渡しがずっと続いているからだった。

🎭 印象的なシーン

俺はお前たちとは違う

柱合会議の頃から繰り返されてきた冨岡義勇のこの一言が、柱稽古編でようやく反転する。周りを見下しているのだと思っていたら、まったく逆の意味だった。言葉を変えずに意味だけをひっくり返す。長いシリーズを走ってきた作品にしかできない手だ。

もう一つは、最終話の静かな対話の場面。何が起きているかは書かないが、あそこは音の作りだけで異常事態だと伝えてくる。怒鳴り声も効果音もない。ただ二人が座って話しているだけなのに、画面のこちら側で勝手に身構えてしまう。柱稽古編で一番怖いのが、誰も戦っていない場面だというのは、なかなかない体験だった。

そして本編が終わったあとの「大正コソコソ噂話」。毎回おまけとして流れているあのミニコーナーが、この編では本編で説明しなかった人物同士のつながりを渡してくる場所として使われている。甘露寺蜜璃がかつて誰の下で学んでいたのかが分かる回があって、そこだけは本編より効いた。おまけを本編の武器にしてくるとは思っていなかった。

💭 視聴後の感情

柱稽古編そのものには最後まで納得しきれず、その気持ちは今も変わっていない。ただ最終話で覚えたのは、異常なワクワク感だった。7話ぶんの静けさを我慢した先で、ようやく物語が動きだす音が鳴る。この落差そのものが柱稽古編の体験なのだと思う。

深いテーマ

柱稽古編でいちばん多く映るのは、主要キャラではなく名前のない隊士たちだ。彼らは柱にも炭治郎にもなれない。それでも稽古に食らいつき、脱落しても後方支援へ回ると言って役割を探す。この編が「稽古」に8話を割いたのは、強くなる過程を描くためだけではなく、勝利を担わない人間が何をするのかを見せるためでもあった。総力戦の前に組織の底を見せておく判断だと考えると、退屈に見えたあの時間の意味が少し変わってくる。

全8話なら、今夜のうちに終わる。U-NEXTの31日間無料体験なら、そのまま前の編まで戻って観直せる。

こんな方におすすめ!

😅 ここが惜しい

2話から7話まで、話がほとんど動かない

柱のところを順番に回るという構成は分かりやすいかわりに、単調でもある。宇髄が終われば時透、時透が終われば甘露寺。稽古の中身は違っても、話の運び方は毎回ほぼ同じだ。6話ぶん続くと、さすがに「次は誰か」以外の興味が持ちにくくなる。

原作の柱稽古はもっと短い。アニメ側はそこにオリジナルの場面を足して膨らませていて、その追加自体は国民的なシリーズらしく手抜きなく作られている。ただなくても物語は成立してしまう場面でもある。続く無限城編が劇場版三部作になることが発表されたのは、この最終話の本編が終わった直後だった。そこから逆算すると、テレビシリーズ側にもある程度の尺が要ったのではないか。観ているあいだ、その事情のほうが先に頭をよぎった。

「柱稽古編」なのに、稽古が全員ぶん揃わない

タイトルが柱稽古なのだから、柱全員ぶんの稽古が観られると思うのが自然だ。実際にはそうならない。胡蝶しのぶは最後まで稽古に加わらず、冨岡義勇は第3話でようやく参加を決めるものの、彼が受け持つ稽古の中身は描かれないまま終わる。甘露寺蜜璃の稽古もあっさり通過してしまう。原作どおりではあるのだが、8話しかない編でこれをやられると、揃わなかったぶんの物足りなさが最後まで残る。

膨らませる余地があったのは、むしろここだったのではないか。オリジナルの場面を足すなら、稽古が描かれない柱にこそ時間を使ってほしかった。柱を全員そろえて紹介する編として設計されているのに、肝心の枠が二つ空席のまま終わっている。

ここが残念…

  • 2話から7話まで、話の運びが毎回ほぼ同じで単調になる
  • 稽古が描かれるのは元柱の宇髄を含めて6人。看板と中身が噛み合っていない
  • 最終話が次章の導入として強すぎて、この編単体では終わった感じがしない

こんな方には向かないかも…

  • 鬼滅に派手な戦闘を期待して観る人(この編にはほぼない)
  • 1話完結で満足したい人。8話全部が次章への準備になっている
  • シリーズ未見の人。前の編を観ていないと第1話から置いていかれる

サウンドトラック購入先

梶浦由記・椎名豪による劇伴に加え、OP「夢幻」とED「永久 -トコシエ-」を収録。OPとEDを同じ2組が担当した編なので、通して聴くと構成が見えて面白い。

🎬 「柱稽古編」が好きなら絶対見るべき3選

クリード 炎の宿敵

柱稽古編がやろうとした「鍛えたぶんだけ強くなる」と「前の世代から受け継ぐ」を、2時間ちょっとで同時に成立させている一本。父の代の因縁を息子が引き受け、そのために体を作り直す。トレーニングの場面が説明ではなく物語そのものになっているので、稽古が退屈にならない見本として観られる。継承というテーマに反応した人にはまっすぐ届く。

👉 『クリード 炎の宿敵』の感想はこちら

メダリスト

柱稽古編が7話かけてできなかったことを、こちらは毎話やっている。フィギュアスケートの練習風景だけで話を持たせ、才能ではなく反復のほうを映し続ける。同じジャンプを繰り返し跳ぶ場面が、そのまま息を詰める場面になる。稽古を描くのに戦闘は要らない。それを一クール通して証明している。

👉 『メダリスト』の感想はこちら

Dr.STONE 第1期

一足飛びの解決を絶対にやらない作品。文明がまるごと消えた世界で、必要なものを一つずつ自力で作り直しながら進んでいく。つまり全編が助走なのに、その助走が毎回いちばん面白い場所になっている。柱稽古編の7話に足りなかったのは尺ではなく、積み上げを見せる順番のほうだったのではないか。そう思わせてくる。

👉 『Dr.STONE』第1期の感想はこちら

📺 配信サービス別・視聴ガイド

『鬼滅の刃』柱稽古編はどのサブスクで観るのがおすすめ?

柱稽古編は主要サービスがほぼ全社見放題で抱えているので、どこを選んでも観られる。選び分けの基準は3つだけだ。

シリーズを頭から通すならU-NEXT。無料体験が31日と最も長く、立志編の26話から柱稽古編の8話まで全編そろっている。総話数は63話で、1日3話ずつ進めれば3週間で終わる計算だ。費用を抑えたいならDMM TV。月額550円で、無料体験は14日ある。柱稽古編だけを観るなら8話なので、14日でも十分間に合う。すでにプライム会員ならAmazon Prime Videoが追加課金なしで最短だ。

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📚 原作情報

原作は吾峠呼世晴による同名漫画で、全23巻で完結済み(2020年12月4日発売の第23巻が最終巻)。柱稽古編にあたるのは15巻の後半(第128話「御教示願う」)から16巻の半ば(第139話「落ちる」)までという、ごく短い範囲だ。アニメが8話に膨らませたぶん、原作を開くと分量の違いに驚く。逆に言えば、アニメオリジナルとして足されたのがどこかを確かめる読み方ができる編でもある。シリーズ未読なら1巻から通しで読むのが結局は早い。

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▶ 続きは劇場版『無限城編 第一章』レビューへ


155分の続編。国内配信がまだ無い理由もここに

📚 『鬼滅の刃』はなぜ流行ったのか


全63話の魅力と欠点、そして無限城編の先

📝 まとめ

飛ばしていいかと聞かれたら、飛ばさないほうがいい、と答える編だ。話は動かない。看板にした稽古も全員ぶんは揃わない。ただ、この8話がないと、無限城へ落ちていく面々がどういう顔でそこにいるのかが分からなくなる。柱の中身も、隊士たちが受け取ったものも、ここでしか渡されていない。

時間が経つほど、稽古の記憶は薄れて、最終話の空気だけが濃くなっていく。あの7話は、最後の一話のために用意された助走距離だった。長い。長いが、坂を登りきった先に置かれているものを見てしまうと、文句を言いながら全部観ておいてよかったと思う。いちばん納得のいかない編が、いちばん忘れられない一話を持っている。柱稽古編を語るのが難しいのは、たぶんそこだ。

⭐ 作品の特徴

項目評価
作画・映像美★★★★★
音楽★★★★☆
キャラクター★★★★☆
次章への引き★★★★★
ストーリー★★☆☆☆
テンポ★☆☆☆☆

うさぎ亭的おすすめ度

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆☆

6.5 / 10

7話の助走を飛ばすと、無限城で柱の顔が分からなくなる