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原作は読んでいる。先の展開も全部知っていた。それでも劇場に行ってよかったと断言できるのは、無限城という空間のスケールを画面いっぱいに浴びたからだ。上も下も定まらない城の中を、人が落ちながら戦う。この155分は、物語より先に空間の体感を差し出してくる。
ただ、この記事でいちばん書きたいのは映像の話ではない。この映画には、無策で挑む人間が一人も出てこない。ほとんど無敵に近い上弦の鬼に対して、鬼殺隊の側は毎回きちんと策を持って立っている。だから勝っても負けても理由が残る。観ていてストレスがない。……とはいえ、そこへ行く前に片付けておくことがある。2026年8月現在、この映画を配信で観る方法は存在しない。
📺 『鬼滅の刃』無限城編 第一章はどこで見れる?【2026年8月版】
| サービス | 配信状況 | 無料体験 |
|---|---|---|
| U-NEXT | 配信なし | 31日間 |
| DMM TV | 配信なし | 14日間 |
| Amazon Prime Video | 配信なし | 30日間 |
| Netflix | 配信なし(国内) | なし |
| Hulu | 配信なし | なし |
👉 各サービスの詳細な違いはVOD比較7社徹底解説を参照。
2026年8月22日時点で、劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来は国内のどのサービスでも配信されていない。見放題がないだけでなく、1本ごとに課金するレンタル・購入もまだ始まっていない。制作元であるアニプレックスの公式サイトにも、国内配信に関する発表は現時点で出ていない。一方、海外では2026年7月28日から配信が始まっている。Crunchyrollが米国・英国・インドなどで、Netflixが韓国・台湾・香港・シンガポール・タイなどアジア各国で配信中だ。アジアが丸ごと外されているのではなく、日本だけがどちらの対象にも入っていない状態が続いている。配信状況は変動するため、最新情報は各サービスの公式サイトでも確認してほしい。
👉 いま観られる手段は、実質ひとつしかない。Blu-ray&DVDが2026年7月29日に発売済みだ。宅配レンタルは2026年8月22日時点でまだ始まっていない(TSUTAYA DISCASの取り扱いも無い)。前作『無限列車編』はセル発売のおよそ2か月後にレンタルが解禁されているので、本作も追って来る可能性はある。待つあいだの復習用としては、TVアニメ本編の全編再放送がフジテレビ系で2026年4月5日から毎週日曜あさ9時30分に流れている(立志編から柱稽古編まで全63話)。
👉 本作は、柱稽古編のラストで無限城に落とされたところから始まる(正確には、悲鳴嶼行冥が鬼殺隊の墓地を歩く短い前置きが入り、そこから無限城へ移る)。「無限城編の前にどこまで観ておけばいいのか」で迷っているなら、答えは『鬼滅の刃』柱稽古編の全8話までになる。
🎬 予告編
この作品を3行で
- 上下左右が入れ替わる城そのものが、155分の主役
- 3つの戦いが並走し、どれも「なぜそう決まったか」が言葉になる
- 三部作の第一章。物語は途中で切れる
作品情報
- 作品名:劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来
- 公開年:2025年(日本・7月18日公開/PG12)
- 監督:外崎春雄
- 制作:ufotable
- 上映時間:155分
- 音楽:梶浦由記・椎名豪
- 主題歌:Aimer「太陽が昇らない世界」/LiSA「残酷な夜に輝け」

📖 あらすじ・ネタバレなし
鬼殺隊の本部である産屋敷邸に、すべての鬼の祖・鬼舞辻無惨が現れる。駆けつけた柱たちと竈門炭治郎は、その場から鬼の本拠地「無限城」へと落とされてしまう。城の中は上下も左右も固定されず、部屋そのものが動く。隊士たちはばらばらに散らされ、それぞれが単独で上弦の鬼と向き合うことになる。
本作で描かれるのは3つの戦いだ。蟲柱・胡蝶しのぶと上弦の弐・童磨。我妻善逸と、雷の呼吸の兄弟子でありながら鬼になった上弦の陸・獪岳。そして水柱・冨岡義勇と炭治郎の前に立つ、上弦の参・猗窩座。原作でいえば16巻140話から18巻の中ほどまでにあたる範囲を、155分に収めている。
✨ この作品の魅力
ここがすごい!
- 無限城の空間表現。背景ではなく、戦いの条件そのものになっている
- 柱と上弦、それぞれ戦い方がまるで違う。同じ画が一度も出てこない
- 勝因と敗因が必ず言葉で示される。運や気合いで勝敗が決まらない
- 柱稽古編で積み上げた準備が、ここで全部使われる
無限城が、背景の仕事をしていない
アニメの「舞台」は、たいてい人物の後ろで止まっている。無限城は止まらない。襖が開いて床が消え、天井だったところが壁になり、戦っている二人の位置関係が数秒ごとに書き換わる。落下しながらの斬り合いが成立してしまうのは、地面という前提がそもそも無いからだ。
この「どこを向いているか分からない」感覚を、まっすぐ正面から描き切ったことに拍手を送りたい。ここは逃げ道がいくつもある題材だ。引きの画を減らして寄りで誤魔化す、暗くして輪郭だけ見せる、動きの速さで細部を飛ばす。ufotableはどれもやらずに、城の全体像を何度も見せてくる。城が広いという情報を、説明ではなく画の物量で押し通している。
だから、この一点だけでも劇場で観た価値があったと言い切れる。テレビの画面サイズだと、そもそも端まで目が届かない。おもしろいことに、この城について書かれた感想を追っていくと、戦闘アニメではなくSF大作の名前が次々に挙がってくる。ジャンル違いの映画を引き合いに出したくなる時点で、背景としては規格外のことをやっている。
勝った理由と負けた理由が、必ず言葉になっている
ここが本作でいちばん語られていない長所だ。上弦の鬼は、首を斬られても再生する。斬るための刀は届かない。まともにやれば勝ち目がない。それでも鬼殺隊は、体格の不利をどう埋めるか、再生をどう上回るか、届かない一撃をどう届かせるかを、その場その場で組み立てていく。作戦があり、実行があり、そのうえで結果が出る。
この作りのおかげで、勝っても負けても納得できる。気合いで押し切ったわけでも、都合よく新しい力に目覚めたわけでもない。準備してきたものを出して、足りたか足りなかったかが決まる。柱稽古編であれだけ地味な訓練を8話も見せられた意味が、ここでようやく回収される。あの退屈さは投資だった。
ストレスなく観られる、という言い方は褒め言葉に聞こえないかもしれない。でもバトル作品でこれは相当に難しい。強敵を強く見せるために主人公側を一度愚かにする、という手をどこかで使いたくなるからだ。155分のあいだ、私はその場面を見つけられなかった。
胡蝶しのぶが持ち込んだ、自分ごと使い切るという発想
3つの戦いのうち、いちばんぐっと来たのは蟲柱・胡蝶しのぶの戦い方だった。彼女だけは鬼の首を斬れない。体が小さく、腕力が足りない。柱でありながら、柱に必要な条件を満たしていない。その一点を埋めるために彼女が選んだのが毒で、そして本作では、その毒をどう届かせるかという話にまで踏み込む。
自分の体そのものを武器の一部として計算に入れる。その覚悟の重さは、原作で読んで知っていたはずなのに、動いて声が乗ると別物だった。
深いテーマ
『鬼滅の刃』は、技のギミックを説明することにほとんど関心がない。呼吸の型は番号が上がっていくだけで、原理の解説は最小限しかない。そのぶんの尺が、刀を振る側の事情に全部注ぎ込まれている。鬼の側にも同じだけ配られていて、だから斬られる側にも言い分が残る。理屈で押さずに感情の熱量だけで押し切る作りは、令和の作品としてはかなり乱暴だ。その乱暴さを画の力で成立させてしまったのが、この155分だと言っていい。
🎭 印象的なシーン
ひとつめは冒頭、7人の柱が無限城の中をただ走っている数十秒。まだ誰も戦っていない。それなのに、この数十秒で泣きそうになったという感想が驚くほど多い。ここまで各編で積み上げてきた顔が全部そろって、同じ方向へ走っている。それだけで足りてしまうのだと思う。
ふたつめは、副題が名指ししている冨岡義勇&炭治郎と猗窩座の一戦。『無限列車編』であの結末を見せられた相手と、今度は水の呼吸の二人が向き合う。炎の次に水が来るという並びも含めて、始まる前から温度が上がっている。
そして三つめは、猗窩座の過去を追いかけた先で待っている、いちばん最後の場面だ。強くあろうとし続けた男が、強くないままの姿で迎えられる。何が起きるかはここでは書かない。長いと感じたのは事実だが、この最後の数十秒のためにあの尺があるのだという言い分も、分かることは分かる。
💭 視聴後の感情
とにかく、気持ちよく観られた。勝敗がどちらへ転んでも、観ているこちらが白ける瞬間が来ない。155分の長尺でこれは相当に珍しい。
ただ、猗窩座の過去編で温度が一度落ちる。ちょっと冷めた、というのがいちばん近い。良かったところと引っかかったところが、どちらも同じ大きさで残っている。
👉 無限城編そのものは配信されていないが、TVシリーズ本編(立志編〜柱稽古編)ならU-NEXTで全編が見放題で観られる(31日間無料体験あり)。復習にはここがいちばん早い。
こんな方におすすめ!
- 原作を読み終えていて、それでも動いている無限城が見たい人
- 『無限列車編』で止まっていて、そろそろ追いつきたい人
- バトルの勝敗に理屈が通っていないと乗れないタイプの人(特におすすめ)
😅 ここが惜しい
ここまで良い点ばかり書いてきたが、引っかかった部分もある。しかもそのうちのひとつは、感想を眺めていると同じ指摘が何度も出てくる。
猗窩座の過去編が、戦いの熱を一度冷ましてしまう
鬼が追い詰められたときに過去の回想が入る。これは『鬼滅の刃』のお決まりで、いまさら文句を言う筋合いではない。ただ本作の場合、終盤にまとまった尺で来るぶん、戦闘の没入感がはっきり削がれる。ずっと張り詰めていた空気が、そこで一段落ちてしまう。
もうひとつ、鬼の側にも事情があるという描き方自体がパターン化しているようにも感じた。悲しい過去があり、そうならざるを得ない事情があり、最後にわずかな救いが差し出される。個々のエピソードは良い。良いのだが、型が見えてしまうと少し興が削がれる。
3つの戦いが続けて来るぶん、どこかで空気を変える必要があったのだろうとは思う。ずっとバトルが続くのも緩急という点では弱い。それでも、あの位置であの長さである必然性までは飲み込めなかった、というのが率直なところだ。
第一章として、物語が途中で切れる
三部作の一本目なので当然といえば当然なのだが、本作だけでは終わらない糸が残る。しかも第二章の公開時期は現時点で公式発表がない。TVシリーズなら「来週」が保証されているものが、劇場版では宙に浮く。1年待つのか2年待つのかも分からない状態で放り出されるのは、映画としてはやはり不利だ。
ここは評価が割れているところで、「区切りとしては満足」という受け取り方も多い。事実、締め方そのものは投げっぱなしではない。ただ、一本の映画としての完結性を重視する人ほど点は辛くなる。
善逸と獪岳の一戦が、置かれた場所で損をしている
内容が悪いのではない。壱の型しか使えなかった男が、初めてそれ以外を出す。話としては本作でも屈指のところにある。ただ、しのぶの戦いのあとに挟まり、そのあとに猗窩座戦が控えているという並びのせいで、通過点のように流れていってしまう。獪岳という人物の掘り下げも、他の二戦に比べると薄い。
ここが残念…
- 終盤の回想が長く、張り詰めていた空気が一度落ちる
- 鬼の過去の描き方に型が見えてしまう場面がある
- 第二章の公開時期が未定のまま、物語が途中で切れる
- 善逸と獪岳の戦いが、並びの都合で通過点になっている
こんな方には向かないかも…
- 1本で話が終わらないと満足できない人(続きは第二章・時期未定)
- 戦闘の途中で回想が入るテンポが苦手な人
- シリーズを一切観ていない人(本作は柱稽古編の直後から始まる)
サウンドトラック購入先
本作単独のオリジナルサウンドトラックは、2026年8月時点でまだリリースされていない(完全生産限定版のBlu-ray/DVDには特典CDが同梱されている)。配信で聴けるのは、Aimerと LiSA によるW主題歌の2曲だ。
- Aimer「太陽が昇らない世界」:Spotify / Apple Music
- LiSA「残酷な夜に輝け」:Spotify / Apple Music
🎬 「鬼滅の刃 無限城編」が好きなら絶対見るべき3選
シリーズの他の編はどうせ観るはずなので、ここには入れない。無限城編で刺さったところ、あるいは引っかかったところから線を引いて、自力では辿り着きにくい3本を選んだ。
インターステラー(2014)
これを挙げる理由は単純で、無限城を観た人が誰に言われるでもなく思い出している映画だからだ。感想を漁っていると、五次元空間との既視感に触れた文章が次々に出てくる。上下の概念が壊れた空間に人間が放り込まれ、そこで何かを決断するという構図が同じなのだと思う。ノーラン作品のなかでも図抜けて画がでかい一本で、これも家のテレビでは半分しか伝わらない。無限城の空間表現で殴られた人には、確実に効く。
イノセンス(2004)
押井守が『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編として撮った、話よりも画で押し切るアニメーション。中盤の祭礼の行列は、筋を進めないのに数分間ひたすら壮麗な画が流れ続ける。「大画面で観てほしい」という一点で並べるなら、日本のアニメーションではこれが筆頭だ。無限城の物量に打たれた人が次に行くべき場所として、これ以上ふさわしい作品はそう多くない。
👉 『イノセンス』配信はどこ?押井守が到達した究極の映像美と難解さ
ジョーカー(2019)
こちらは不満のほうから線を引いた1本。「悪役がそうなるまでの事情」を、戦いの合間に差し込むのではなく最初から最後まで2時間かけてそれだけをやるとどうなるか、という映画だ。同じ素材でも、置き場所を変えるだけで機能がまるごと変わる。猗窩座の過去編を長いと感じた人ほど、その落差が面白いはずだ。ついでに言うと、こちらは救いを一切用意しない。
📺 配信サービス別・視聴ガイド
『鬼滅の刃』無限城編は全社で配信なし|いま観るなら円盤かレンタル
先に結論を書いてしまったが、あらためて整理しておく。2026年8月時点で本作を配信で観る方法はない。見放題が無いだけでなく、1本ごとに買う・借りるタイプの配信も始まっていない。海外の一部地域では配信済みなので「観られる」という情報が検索に混ざってくるが、日本のアカウントでは再生できない。
そのうえで、現実的な選択肢は次のようになる。
- Blu-ray/DVDを買う:2026年7月29日発売済み。通常版のほか、特典CDなどが付く完全生産限定版がある
- 宅配DVDレンタルを待つ:2026年8月時点では未開始。解禁されれば、1回だけ観たい人にはここがいちばん安く済む
- 配信が来るまでTVシリーズで待つ:立志編から柱稽古編までは主要サービスで見放題。フジテレビ系の日曜あさの再放送も走っている
Blu-rayで観る場合も、できるだけ大きな画面で観てほしい。無限城の広さは、画面の端まで目が届いて初めて成立する。テレビでもプロジェクターでも、とにかく大きいほうを選ぶことを強く勧める。
視聴はこちらから
- U-NEXT (31日間無料体験):本作は配信なし/TVシリーズ全編は見放題
- DMM TV (14日間無料体験):本作は配信なし/TVシリーズ全編は見放題
- Amazon Prime Video (30日間無料体験):本作は配信なし/TVシリーズ全編は見放題
- Netflix:本作は配信なし(国内)
- Hulu:本作は配信なし
📀 Blu-ray・円盤情報
配信が来ていない以上、いま無限城を最高の画質で観る手段はこれしかない。2026年7月29日発売。通常版と、特典CDや収納BOXが付く完全生産限定版がある。大画面で流すことを前提にするなら、迷わずBlu-rayのほうを選んでほしい。
📝 まとめ
劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来は、シリーズの映像表現がひとつ上の段に上がったことを、無限城という舞台装置ひとつで示してみせた155分だった。そして舞台の派手さの陰で、勝敗の理屈がきちんと組まれている。派手なのは画のほうで、中身は思いのほか理詰めだ。
一方で、終盤の回想が空気を落とすこと、そして第二章の時期が決まらないまま話が切れることは、映画としてはやはり傷になる。手放しで満点とはいかない。それでも、あのスケールはもう一度大きな画面で浴びたい。円盤を買う意味も、配信を待つ理由も、結局はそこにある。
⭐ 作品の特徴
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 映像・作画 | ★★★★★ |
| 戦闘の説得力 | ★★★★★ |
| 音楽・音響 | ★★★★☆ |
| ストーリー | ★★★☆☆ |
| テンポ | ★★★☆☆ |
| 単体での完結度 | ★★☆☆☆ |
うさぎ亭的おすすめ度
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆
7.7 / 10
無策で挑む者が一人もいない155分。できるだけ大きな画面で。