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勝ったのはアポロ・クリードだ。それなのに、この続編で追い詰められていくのもアポロだった。無名の四回戦ボーイ相手に判定までもつれ込んだせいで、王者は次の防衛戦の話ではなく、あの試合の弁明をさせられている。一方、負けたロッキーは車を買い、家を買い、生活が全方向に好転していく。同じ二人がもう一度殴り合うだけの話に見えて、立っている場所が丸ごと入れ替わっている。
1作目を観終わって、そのまま2の再生ボタンを押した。結論から言えば、これも素晴らしかった。ただ、傑作がもう1本増えたという感触とは少し違う。『ロッキー』は善戦で終わる物語で、あの夜が実力だったのかまぐれだったのかは、1作目の中では決まらない。決着はまるごと2作目に置かれている。善戦のままでは、終われなかった。
📺 『ロッキー2』はどこで見れる?【2026年8月版】
| サービス | 配信状況 | 無料体験 |
|---|---|---|
| U-NEXT | 見放題 | 31日間無料 |
| Hulu | 見放題 | なし |
| Amazon Prime Video | レンタル | 30日間無料 |
| Disney+ | 配信なし | なし |
| Netflix | 配信なし | なし |
👉 各サービスの詳細な違いはVOD比較7社徹底解説を参照。
2026年8月23日時点で、『ロッキー2』を見放題で観られるのはU-NEXTとHuluの2社。Amazon Prime Videoはレンタル配信のみで、プライム会員でも1本ごとに課金が必要になる。NetflixとDisney+では配信されていない。配信状況は変動するため、最新情報は各サービスの公式サイトでも確認してほしい。
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注意が一つ。本作は1作目のラストの直後から始まる。冒頭で前作の試合をほぼ丸ごともう一度見せられるので、順番を飛ばすと何も乗れない。まだなら『ロッキー』のレビューから読んでほしい。
🎬 予告編
本作も日本語版の公式予告編は公式チャンネルに残っていない。権利元のMGMが公開している英語版を貼っておく。
この作品を3行で
- 判定で敗れた男が、あの試合はまぐれではなかったと自分に確かめにいく続編
- 引退して働こうとするが、ボクシング以外に何もできないことが分かってしまう
- 勝ったはずの王者のほうが追い詰められていく、1作目と真逆の構図
作品情報
- 作品名:ロッキー2(原題:Rocky II)
- 公開年:1979年(アメリカ)/日本公開は1979年9月1日
- 監督・脚本・主演:シルヴェスター・スタローン(監督としては『パラダイス・アレイ』に次ぐ2本目)
- 音楽:ビル・コンティ
- 上映時間:119分(1作目と同じ尺)
- 出典:TMDB

📖 あらすじ(ネタバレなし)
世界ヘビー級王者アポロ・クリードに判定で敗れたロッキー・バルボアは、病院のベッドの上で引退を口にする。目に負った傷を医師に止められたこともあって、彼はグローブを置き、エイドリアンと結婚する。無名だった男に広告の仕事が舞い込み、車を買い、家を買う。生まれて初めて、彼はまともな生活の側に立つ。
ところが、その生活が続かない。台本が読めずに仕事を降ろされ、ようやく就いた職も景気の悪化であっさり無くなる。一方、無名の相手を倒しきれなかったアポロのもとには、あの試合は仕組まれたものではないかという手紙が山のように届いていた。王者は自分のプライドを取り戻すために再戦を要求し、引退したはずの男を公然と挑発しはじめる。
✨ この作品の魅力
ここがすごい!
- 1作目が「善戦」で置いていったものを、「実力」に書き換えにいく続編であること
- 勝った側が疑われ、負けた側の人生が好転していく反転の構図
- アポロ・クリードが、敵役から尊重すべきファイターへ描き直されている
- 製作費が7倍になり、試合とトレーニングの画がはっきり洗練されている
1作目とセットで、ようやく1本になる
1作目でロッキーが自分に課した目標は、勝つことではなかった。最後のゴングが鳴るまでリングに立っていること。それだけだ。そして彼はそれを達成する。ただし、勝ってはいない。
この「勝ってはいない」が、2作目の出発点になる。世間はあの一戦を、建国200年の話題づくりに用意された余興として処理していく。まぐれだった、相手が油断していただけだ、と。そしてロッキー自身にも、それを言い返すだけの根拠がない。本作で彼が取りにいくのは、ベルトそのものよりも、あの夜が事故ではなかったという確認だ。1作目が答えを出さずに置いていったものを、こちらで回収する。
本作は前作のクライマックスを、ほぼそのまま再生するところから始まる。2作目の話が1秒も進まないうちに、こちらは前作の記憶をフルサイズで浴びせられる。この時点で「これは単独では成立しない映画です」と言われているに等しい。実際、続けて観ると2本のあいだに切れ目を感じない。
おかげで、1作目では善人の余裕にしか見えなかった部分の意味も変わってくる。ロッキーは戦う理由を毎回きちんと持っている男で、その理由はいつも勝敗の外側にある。1では自分がゴロツキでないことを、2ではあの夜が事故でなかったことを、それぞれ自分に向けて確かめにいく。相手も舞台も同じなのに、動機だけが更新されている。だから再戦ものにありがちな焼き直し感が、思ったほど出ない。
勝った側が、追い詰められていく
1作目のアポロは、ジョージ・ワシントンやアンクル・サムに扮した派手な入場をやってのけるような余裕の塊だった。本作の彼に、その余裕はない。無名を選んで話題を作ったつもりが、その無名に判定までもつれ込んだせいで、王者としての格に傷が入っている。届く手紙は称賛ではなく疑いだ。彼は勝ったことで失っている。
ロッキーはその逆をいく。負けたのに、街を走れば子供が後ろについてくる。同じ通りで、1作目には誰も彼のほうを見ていなかった。走る人間は変わっていないのに、沿道だけが入れ替わっている。この対比が全編に貼られていて、二人は正確にすれ違っていく。
そして本作でいちばん効いているのは、アポロを噛ませにも悪役にも落とさなかったことだ。1作目のアポロは、強いという設定は伝わるのに、内側がほとんど描かれていなかった。そこが埋まったのは大きい。焦って挑発を繰り返す姿は、見ようによっては小さく映る。それでも映画はその焦りを笑いものにせず、プライドを傷つけられた男が取り戻すためにやるべきことを全部やる過程として撮っている。おかげでこの再戦には、二人ぶんの動機が乗っている。どちらが勝っても、片方は本当に困る。1作目で欠けていた半分が、ここで埋まる。
製作費7倍で、画がはっきり変わった
1作目の製作費はおよそ100万ドル、本作はおよそ700万ドルだ。その差がいちばん出るのは試合とトレーニングで、ロッキーとアポロの練習を切り返しで見せる編集、フィラデルフィア美術館の階段に集まる人の数、最終盤の打ち合いと、目に見えて手数が増えている。
なかでも効くのは練習の切り返しだ。1作目のロッキーは一人で走り、一人で肉を殴っていた。本作では、同じ時間にアポロが何をしているかまで並べて見せられる。相手の仕上がりが見えているので、こちらは安心して応援できない。
ただ、予算が増えたことが全部いい方向に出たかというと、そうでもない。それは後半でまとめて書く。
深いテーマ
本作の前半でロッキーを苦しめる相手は、アポロではなく求人票だ。学歴がなく、字を読むのも得意ではない元ボクサーに、まともな仕事は回ってこない。せっかく就いた職も、景気の都合であっさり消える。70年代アメリカの不景気が、殴り合いではなく再就職の場面から入ってくる。
1作目との決定的な違いはここだ。あのときの彼には、失うものが何もなかった。本作の彼には妻がいて、家があり、支払いがある。同じ男が同じ街を歩いているのに、身動きの取れる範囲がまるで違う。挑戦の物語であると同時に、生活を抱えた人間が何かを始め直す話になっている。
🎭 印象的なシーン
①それまで反対していた妻が、ひとことだけ言う
エイドリアンは終始、再戦に反対している。目のことがあるし、二人の生活はもう彼一人のものではない。その彼女が、あることをきっかけに、ひとつだけ頼みごとをする。勝ってほしい、と。
それまで惰性でジムに顔を出していた男が、この一言で別人になる。直後にミッキーがぼやぼやするなと怒鳴りつけ、ビル・コンティのテーマが鳴り、トレーニングが始まる。ひとこと、号令、音楽、身体。この順番で一直線に火がつく。上映時間の折り返しまで待たされたぶん、テーマ曲が鳴った瞬間に観ている側の姿勢まで変わる。
面白いのは、その火をつけるのがライバルではなく妻だという点だ。スポーツ映画の定石なら、この役はアポロの挑発が担うはずで、実際に挑発は散々やっている。ところがロッキーは、それだけ罵倒を浴びても動かなかった。この映画が最後まで手放さないのは、リングの外にある動機だ。
②鏡の中の自分を見るアポロ
試合が近づいた頃、誰もいない部屋で、王者が一人、鏡の中の自分をじっと見ている。台詞はほとんどない。数秒の場面だ。
この数秒を見せられたせいで、翌日の試合を素直に応援できなくなる。倒すべき壁だったはずの男が、こちらと同じ夜を過ごしている一人になっている。リングで向かい合うのは、挑戦者と壁ではなく、眠れない夜を過ごした二人だ。この数秒のために、1作目のアポロは説明されずに置かれていたようにすら見える。
③雪の動物園でのプロポーズ
雪の積もった動物園で、閉園間際に、ロッキーが不器用な言い方で気持ちを伝える。撮影当日がたまたま雪だったものをそのまま使ったそうで、画面はほとんど白一色になる。そのなかでエイドリアンの上着だけがはっきり色を持っていて、彼女がどこにいるかが一目で分かる。名場面として語られることは少ない。白い画面に色が一点あるだけで、そのうえ二人ともずっと落ち着かない。見ているこちらの居心地まで悪くなるのに、なぜか目が離せない。
(このシリーズのデート場面は、1作目の誰もいないスケートリンクからしてスマートではない。そこが良い)
💭 視聴後の感情
1作目と2作目の境目が、どうもうまく引けない。どこまでが1で、どこからが2だったのか。この2本を切り離して思い出すのが難しくなっている。
2本が追いかけているのは、試合の勝敗ではなく、一人の男の何年かだ。名前が売れ、金が入り、それを全部失って、また元の場所へ戻る。頂点まで行ってから落ちる過程には、規模がまるで違っても身に覚えのある人が多いはずだ。
そしてこの数年は、書いた本人が実際に通った道でもある。スタローンは『ロッキー』の大成功のあと、『F.I.S.T.』と、自ら監督も務めた『パラダイス・アレイ』の2本に主演したが、どちらも1作目のようにはならなかった。一度当てた人間が、次で当たらない。1作目では役と本人が勝手に重なってしまっていたが、2作目はそこを本人が自分から取りにいっている。名声のあとの停滞という数年を、そのまま脚本の骨にしてしまうやり方は、かなりクレバーだ。
ここで観たくなった人へ。U-NEXTなら見放題で配信中(31日間無料体験)。
こんな方におすすめ!
- 『クリード』から遡ってシリーズを観ている人。アポロの中身が描かれるのはここから
- 1作目を観て「試合の時間が短かった」と物足りなさが残った人。本作は終盤30分がほぼ試合
- 仕事や生活がうまく回っていない時期に観る人(特におすすめ)。落ちてから戻るまでを丸ごとやってくれる
😅 ここが惜しい
うまくいっている時間が、正直なところ長い
ここまで持ち上げてきたが、この映画には最後まで乗りきれない時間帯がある。引退、結婚、広告の仕事、車、家。ロッキーの生活が上向いていくパートが、思っていたよりずっと続く。体感では1時間25分あたりまで話が動かない。調子に乗った彼が高い買い物をして回る場面が続くので、1作目のあの寡黙さが好きだった人ほど戸惑う。
もっとも、この停滞を削ると、あの一言が効かなくなる。落ちるところまで落ちた男だから、たった一言で立ち上がる姿が劇的に見える。前半の退屈は、後半の名場面のための材料として使われている。それは分かる。分かるのだが、そのために1時間25分預けるのは長い。10分でも短ければ、本作の評価はもう一段上がっていたはずだ。
試合の作りは、今の目で見ると無理がある
もう一点、こちらは前半で書いた「製作費7倍」の副作用だ。画が洗練されたぶん、こちらも一瞬これをボクシングとして見てしまう。すると、ノーガードで打たれ続けても倒れない体や、決着のつけ方に見えてくる段取りが気になり出す。序盤であれだけ目のことを言われたのに、終盤では誰も気にしていない。こちらだけが最後まで覚えている。
『クリード』を先に観た目には、ここに40年ぶんの差がそのまま出る。あちらは長回しでラウンドを丸ごと見せるような撮り方で、競技として成立させにいっている。『ロッキー』の1と2はボクサーの映画であってボクシングの映画ではない。それでも、40年後の続編から遡ってきた観客は、どうしてもここで一度引っかかる。
ここが残念…
- 引退から再戦を決めるまでの前半が長く、体感で1時間25分ほど話が動かない
- 試合の攻防の作り込みが現代のボクシング映画と比べて大づかみで、序盤に強調された目の負傷も終盤ほぼ機能しない
こんな方には向かないかも…
- スポーツ映画に競技としてのリアリティを求める人
- 主人公が成功して浮かれている時間を見るのが苦手な人。前半はほぼそれで占められている
サウンドトラック購入先
ビル・コンティのスコア盤は各サブスクにある。1曲目は本作のテーマ「Redemption」で、あの有名な「Gonna Fly Now」も入っている。前者は知らない人のほうが多いはずだが、映画のなかで仕事をしているのは断然こちらだ。通しで聴くと、あの一言のあとの数分がそのまま頭で再生される。
- Spotify:配信あり
- Apple Music:配信あり
🎬 「ロッキー2」が好きなら絶対見るべき3選
ワンパンマン 第1期(2015)
アポロの立場を極限まで押し進めるとこうなる、という一本。主人公のサイタマは何をどう殴っても一撃で終わってしまう男で、勝利がまったく報酬にならない。強くなった先には何も無かった、という一点だけで12話を持たせている。本作でアポロが抱えているのも、勝ったのに満たされないという同じ形の空白だ。ロッキーではなく王者のほうが気になった人には、こちらが効く。
セッション(2014)
一度は逃げ出した若者が、自分を潰した相手の前にもう一度立つ話。証明したい相手が目の前に一人だけいる、という構造がロッキーの再戦とまったく同じで、ただしこちらには支えてくれる妻もトレーナーもいない。逃げ場がないぶん、ドラムのスティックがグローブより痛く見えてくる。終盤の長いドラムソロは、本作の最終ラウンドを別ジャンルに移し替えたようにも観られる。
ミリオンダラー・ベイビー(2004)
※日本語版の公式予告編が公式チャンネルに残っていないため、ワーナー・ブラザースの公式チャンネルによる英語版を掲載している。
同じボクシング映画でありながら、「最後まで立っていること」の意味を正反対の側から書いた一本。クリント・イーストウッドが監督と主演を兼ね、頑固な老トレーナーと、遅れてきた選手の関係を描く。この師弟の距離はミッキーとロッキーの裏返しに近い。本作のあとに続けて再生すると、同じ競技を扱ってここまで行き先が変わるのかと驚くはずだ。ただし覚悟はいる。
📺 配信サービス別・視聴ガイド
『ロッキー2』はNetflixでは配信なし|見放題はU-NEXTとHulu
2026年8月時点で、Netflixに『ロッキー2』は入っていない。見放題で観られるのはU-NEXTとHuluの2社だ。
選ぶ基準は「この先どこまで観るか」で決まる。U-NEXTは31日間の無料体験があり、その期間内なら追加料金がかからない。シリーズの他作も同じ棚に並んでいるので、2で火がついて3以降や『クリード』まで進んでも契約を増やさずに済むし、1と2だけ観て解約する使い方もできる。
Huluも見放題だが、無料トライアルが無いので未加入なら初月から月額がかかる。すでに契約しているなら、1も2もそのまま並んでいる。Amazon Prime Videoはレンタル棚だけで、シリーズを追うなら本数ぶん課金が積み上がる。
視聴はこちらから
- U-NEXT (31日間無料体験):見放題
- Hulu:見放題
- Amazon Prime Video (30日間無料体験):レンタルのみ
- Disney+:配信なし
📀 Blu-ray・円盤情報
『ロッキー2』もオリジナル脚本なので、原作にあたる本は存在しない。円盤は単品のBlu-rayが出ているため、シリーズをまとめて買い直さなくても2作目だけ手元に置ける。本作は終盤30分がほぼ試合なので、打ち合いの汗の粒と客席のざわめきが配信とは別物になる。
📝 まとめ
1作目が善戦の物語で終わっていたのに対し、本作はそれが実力だったと本人に確かめさせる続編だ。勝った側が疑われ、負けた側の生活が好転していく反転の構図があり、1作目では設定止まりだったアポロが、眠れない夜を過ごす一人のファイターとして描き直されている。製作費が7倍になった効果は、試合とトレーニングの画にはっきり出ている。
前半の停滞と、試合の大づかみさは最後まで残る。それでも勧めるのは、1作目だけでは決まらないままの部分があるからだ。あの夜は何だったのか。その問いに答えを出しにいくのが本作になる。1作目を観たなら、この119分まで込みで『ロッキー』だと思っていい。
⭐ 作品の特徴
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| ストーリー | ★★★★☆ |
| キャラクター | ★★★★★ |
| 音楽 | ★★★★☆ |
| 映像 | ★★★★☆ |
| 熱量 | ★★★★★ |
| テンポ | ★★★☆☆ |
うさぎ亭的おすすめ度
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆
8.0 / 10
1作目は前編だった。答え合わせは、この119分にある。