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『バチェラー・ジャパン』シリーズを全シーズン追いかけてきた人間として、シーズン5を一言で説明するならこうなる。今作のバチェラーは、王子様ではなく超好青年だ。
私は配信中に毎週追いかけて完走した。観ながらずっと引っかかっていたのは、歴代の看板だった資産や肩書きの圧が、今作では主役の側に薄いことだ。シリーズが積み上げてきた「選ばれる側が見上げる」構図が成立しにくい。シリーズを知っているほど、ここはノイズになる。
それでも私は10話を走りきったし、全シーズン観てきた中では上位に置いている。看板を下ろした代わりに、この番組は会話の深さを手に入れたからだ。賛否が割れるのはこの一点で、割れ方には見事なほど一貫した形がある。
📺 バチェラー5の配信はアマプラ独占【2026年9月版】
本作を観る方法はひとつしかない。Amazonプライム・ビデオの独占配信だ。「バチェラー netflix」と検索して辿り着いた人もいると思うが、Netflixにも、U-NEXTにも本作は無い。シリーズはAmazonが自社で作っている番組なので、よそに回ってくる見込みも薄い。
視聴はこちらから
- Amazon Prime Video (30日間無料体験):見放題(独占配信)
- U-NEXT (31日間無料体験):配信なし
プライム会員は月600円(税込)または年5,900円で、初回は30日間の無料体験がある。そしてバチェラー6シーズンとバチェロレッテ4シーズン、合わせて10作ぶんが同じ契約の中に入っている。本作で気に入れば、そのまま横にも縦にも進める。※ここに書いた配信状況は2026年9月10日に確認したもの。観る前に公式サイトで最新の状態を見てほしい。
👉 女性が選ぶ側の回については、バチェロレッテ・ジャパン シーズン4のレビューに書いた。本作と近い温度で観られる1本だ。
『バチェラー・ジャパン』シーズン5 予告編
番組情報
- 番組名:バチェラー・ジャパン シーズン5
- 配信開始:2023年8月3日(全10話)
- 配信:Amazon Prime Video 独占
- バチェラー:長谷川惠一(ウェルネスクリエイター・パーソナルジム代表)
- 女性参加者:16名/舞台:メキシコ
- スタジオMC:今田耕司・藤森慎吾・指原莉乃/ゲストMC:片寄涼太
バチェラーとは?(初めての人向けに30秒で)
『バチェラー』は、1人の独身男性が複数の女性の中から人生のパートナー候補を選んでいく恋愛リアリティショーだ。各話の終わりには「ローズセレモニー」があり、そこでバラを受け取れなかった人はその場で旅を終える。米国発の長寿フォーマットで、日本版は2017年に始まり、本作が5シーズン目にあたる。
今作を語るうえでもうひとつ覚えておくといいのが「ストールンローズ」だ。他の参加者が得たデートの権利を奪える、という趣旨のルールで、シリーズでは今作の5話で初めて登場した。観た人の感想では説明抜きで飛び交う言葉なので、先に頭に入れておくと中盤の見え方が変わる。
覚えるルールはこれだけでいい。過去シーズンを1本も観ていない状態から入って問題ない。
今シーズンの構図(ネタバレなし)
5代目バチェラーの長谷川惠一さんは、パーソナルジムを経営するウェルネスクリエイター。前身はパーソナルトレーナー兼3人制プロバスケットボール選手で、もともとは『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン2に参加者として出ていた人だ。つまり今作の主役は、かつて選ばれる側の席に座った経験がある人だ。
彼を待つのはメキシコに集まった16名の女性たち。メイク講師、飲食店経営、カフェ店長、現代美術家、社長秘書、ヨガインストラクター。職業も年齢も散っているが、共通しているのはカメラの前で萎縮しない強さだ。主役側の圧が薄いぶん、女性陣のほうが押し出しの強い場面すらある。
この記事の約束
最後に誰が選ばれたのか、この記事では書かない。終盤のデートの中身にも触れない。安心して最後まで読んでほしい。
『バチェラー5』の魅力
肩書きではなく振る舞いで評価されたバチェラー
歴代のバチェラーは、まず経歴で押してきた。資産、会社、ヘリコプター。今作の長谷川さんにはそれがない。かわりにあるのが会話力だ。相手の言葉を引き取って、もう一段深いところへ運ぶ。デートの映像を見ていると、恋愛の駆け引きというより、人と人の対話がきちんと成立している。
他の人の意見を見ていて面白いと思ったのは、彼を褒める言葉が「誠実」「紳士的」「真摯」と抽象的なのに、根拠が全部行動に紐づいていることだ。発言でつまずいたあとに逃げずに謝った、全員に公平に時間を割いた、落とす相手にも理由を持って向き合った。地位ではなく振る舞いで評価されたバチェラーは、シリーズで彼が初めてだと思う。
この効き目は視聴のストレスに直結する。落とす判断に首をひねる回が、10話を通してほとんどなかった。選考に納得がいくぶん、余計な感情を使わずに最後まで走れる。
批判している人まで女性陣は褒めている
他の人の意見を見て一番意外だったのはここだ。今作に厳しい評価を付けている人ほど、なぜか女性陣のことは褒めている。番組そのものには最低点を付けながら、参加者は素敵だったと書き添えている人までいる。番組に怒っている人でさえ、出演した女性たちの評価は下げていない。批判の矛先が参加者に向かわなかったことが、このシーズンの後味を守っている。
私が一番見応えを感じたのは、飲食店を経営する大内悠里さんとのやり取りだ。会話を引き出すのが抜群にうまい。長谷川さんが彼女の前でだけ見せる顔があって、デートの最中に人生観や仕事観といった、恋愛番組では省略されがちな話が普通に出てくる。デートの尺の使い方としては地味だが、この番組がどこに時間を割いているかがよく分かる部分だ。
女性同士が足を引っ張り合わないのも今作の特徴で、他の人の感想でも「悪口が無い」「安心して見られた」という言葉が並ぶ。裏を返せば修羅場は起きない。その物足りなさについては後半で書く。
前作を観ていると二重に楽しめる
主役が『バチェロレッテ2』の参加者だったという事実は、そのまま本作の見え方に効いてくる。選ばれる側の緊張を知っている人が、今度は選ぶ側に座る。選考で彼が見せる迷いの質は、その経験と地続きに見える。
もっとも、この起用には「使い回し」という批判も出ている。新しい顔を連れてこられないのか、という声だ。私はここは前作からの地続きを楽しむ側だが、シリーズに新鮮さを求める人には引っかかるだろう。この評価の割れ方こそ、本作という番組の性格をよく表している。
ここがすごい!
- 肩書きではなく振る舞いで評価された、シリーズでは珍しいタイプのバチェラー
- 落とす理由に納得感があり、視聴のストレスがほとんどない
- 番組に厳しい人まで女性参加者を褒めている、後味の良いシーズン
- 選ばれる側を経験した人が選ぶ側に回るという、シリーズを跨いだ構図
4話までで判断しないでほしい
ひとつだけ、視聴に関わる実用的な話を書いておく。この番組は序盤が弱い。会話する相手が限られ、誰が誰だか頭に入る前に話が進む。他の人の意見を見ても、序盤で脱落した視聴者は多い。
ただ、面白いのはその先だ。「4話まではがっかりしていた。しかし5話から急加速した」という趣旨のことを、書き方も星の数も違う人たちが、それぞれ独立に書いている。止まっていた歯車が中盤で噛み合うのは、観ていて確かに分かる。
その中盤とは、具体的には5話だ。この1話に、今作で語られる場面のほとんどが詰まっている。まず、ドレスのまま次々とプールへ飛び込む場面。「歴代シーズンでも屈指の名場面」「映画のようだった」と語られていて、今作でいちばん多く名前を挙げられる数十秒だ。旅を共にした者同士の距離が、説明なしで画面に出る数十秒だ。
そして同じ5話に、シリーズ初のストールンローズが来る。ここは本作でいちばん賛否が割れる。「最大の見せ場」と書く人がいる一方、「言葉にするのが苦手な人を囲んで追い詰めているように見えた」と書く人もいる。どちらの言い分も分かる。番組が用意したルールが、参加者の関係にそのまま刺さってしまった回で、観たあとに誰かと話したくなるのは間違いなくここだ。花火を見上げる場面も同じ回にあって、私はここがこのシーズンでいちばん好きだ。積み上げてきた会話に、ようやく火がつく。
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ここは物足りなかった、と書いておく
ここまで良いところばかり書いてきたので、引っかかった点も並べる。
ここが残念…
- 事件が少なく、記憶に刺さるインパクトは薄い
- 全10話という尺と、シリーズ全体の規模の縮小
ひとつめ。今作はサラッと観られる。裏返すと、観終わったあとに残るものが少ない。修羅場も、寝返りも、深夜の口論もない。これを「薄味」と表現している人がいて、悔しいが的確だと思った。安心して観られることと、忘れられない体験になることは別で、本作は前者に全振りしている。刺激を求めて再生ボタンを押した人が肩透かしを食うのは当然だ。
ふたつめは尺と規模だ。全10話は、シリーズの厚みを知っているとやはり短い。人数を絞りきる前に週が進んでしまい、「この人のことをもっと見たかった」という気持ちが何度か残った。デートのスケール感も初期シーズンの派手さには及ばない。
そして冒頭に書いた「バチェラーらしくなさ」。これは私も同意する。参加者の中には、経営の規模でも実家の背景でも主役より上に見える人がいて、本来あるはずの「選ばれる側が見上げる」構図が成立しにくい。看板の作り方が変わったことの副作用で、これは出演者ではなく番組設計の話だ。ここを損と見るか、代わりに得た会話の深さを取るかで、評価はきれいに割れる。
世間の評価は? シリーズの中では上位にいる
Amazonのレーティングをシリーズ横断で集計すると、本作の位置がはっきりする(2026年9月時点)。
| シーズン | 平均評価 | 件数 |
|---|---|---|
| バチェラー1 | ★2.8 | 71件 |
| バチェラー2 | ★4.4 | 38件 |
| バチェラー3 | ★4.5 | 344件 |
| バチェラー4 | ★3.2 | 624件 |
| バチェラー5(本作) | ★3.7 | 350件 |
| バチェラー6 | ★2.1 | 656件 |
バチェラー6作の中では3番目。★4台のシーズン2・3には届かないが、直前のシーズン4(★3.2)と直後のシーズン6(★2.1)に挟まれた位置にいる。シリーズの数字が動く前の、まだ★4に手が届く位置にいたシーズンという言い方がいちばん近い。
面白いのは、他の人の意見を並べると「歴代最高」と「一番つまらない」が同じ番組に同居していることだ。熱く推す人と、最後まで乗れなかった人が、きれいに二分されている。この散らばりこそが本作の実像だと思う。
そして「バチェラーらしくない」という言葉だけは、絶賛している人からも、がっかりした人からも、同じように出てくる。賛成側と否定側が同じ現象を見ていて、それを長所と取るか短所と取るかだけで分かれている。冒頭に書いた私の引っかかりも、結局はここに合流する。
こんな人におすすめ・向かない人
こんな方におすすめ!
- 恋愛リアリティショーを一度も観たことがない人(最初の1本に向いている)
- 『バチェラー』という名前は知っているが観たことがない人
- ドロドロが苦手で恋リアを避けてきた人
- 会話や関係の積み上がりを見たい人
こんな方には向かないかも…
- 修羅場や駆け引きのドロドロを恋リアに求める人
- 初期シーズンのセレブ感・スケールを基準にしている人
どのシーズンから見ればいい?
シリーズ未見の人向けに、私なりの入り方を書いておく。
| タイプ | 入り方 |
|---|---|
| 恋リアが初めて | 本作でいい。予備知識ゼロで入れて、嫌な気持ちになる場面がほとんどない |
| 刺激と騒動込みで観たい | バチェラー3。シリーズで最も星が高く(★4.5)、当時いちばん語られた回でもある |
| 女性が選ぶ側を観たい | バチェロレッテ1、またはバチェロレッテ4。4は本作と近い温度で観られる |
| 本作を先に観た人へ | バチェロレッテ2。今作の主役が参加者として出ているので、地続きで観られる |
シリーズは全作が同じ1契約に入っているので、途中で乗り換えても追加の出費は要らない。
まとめ:王子様ではなく好青年が主役の、いちばん穏やかなシーズン
『バチェラー・ジャパン シーズン5』は、シリーズの看板だったギラギラした非日常を手放した回だ。そのぶん残ったのは、聞き出すのがうまい男と、物怖じしない女性たちが、10話かけて関係を積み上げていく過程だった。事件は少ない。忘れられない衝撃もない。それでも私は毎週の配信を待っていたし、全シーズンを観てきた中では上位に入る。
もし前半で退屈したら、5話まで我慢してみてほしい。プールへのダイブも、ストールンローズも、花火も、全部あの1話に入っている。この番組の本体は、そこから始まる。
誰の手にファイナルローズが渡ったかは、この記事のどこにも書いていない。そこは10話かけて自分の目で確かめる部分として残してある。
うさぎ亭的おすすめ度
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆
8.0 / 10
刺激ではなく会話で持っていく回。恋リアを避けてきた人ほど入りやすい。