植村あかり卒業コンサート『1=LINE』レビュー|湿らない卒コンが今のJuice=Juiceへつなぐ

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結論から書く。植村あかりの卒業公演『1=LINE』を映像で観る価値は、これが「見送る公演」ではなく「渡す公演」だからだ。オリジナルメンバー最後のひとりの卒業なのに、湿った空気がほとんど無い。次のリーダー段原瑠々の体制へバトンを渡す構成になっていて、2025年に加入した林仁愛を除く今のメンバー全員が出ている。『盛れ!ミ・アモーレ』からJuice=Juiceを知った人が最初に観る1本として、これ以上つながっている映像は無い。

公演は2024年6月14日、日本武道館。春ツアー「Juice=Juice Concert Tour 2024 1=LINE」の千秋楽で、11人のJuice=Juiceが、植村あかりの14年のアイドル人生と、3代目リーダーとしての2年半を締めた。私はこの日、武道館の客席にいた。その上で配信を観直したので、客席から見えていたものと映像でしか拾えないものの差も書く。

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2026年9月10日時点で、この公演の映像を配信しているのはU-NEXTだけで、見放題だ。Huluには無い。配信で観られるのは武道館の本編で、Blu-rayの2枚目に入っている地方公演の回替わり楽曲は配信には含まれない。そこは記事の後半で分けて書く。

無料で観るならU-NEXTがおすすめ。31日間の無料体験があり、未加入なら今夜そのまま観られる。Juice=Juiceの単独公演は9本が見放題なので、この1本から入って残りを体験期間中に追える。

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公演情報

  • 公演名:Juice=Juice Concert Tour 2024 1=LINE 植村あかり卒業スペシャル
  • 日付・会場:2024年6月14日・日本武道館
  • 出演:Juice=Juice(11人)植村あかり・段原瑠々・井上玲音・工藤由愛・松永里愛・有澤一華・入江里咲・江端妃咲・石山咲良・遠藤彩加里・川嶋美楓
  • 曲数:28曲(メドレー7曲を含む)+アンコール4曲
  • 円盤:Blu-ray 2枚組(HKXN-50126・2024年10月23日発売)。2枚目は地方公演の回替わり楽曲11曲と『Brilliance of memories』MV
  • 配信:U-NEXT(見放題・本編)

📖 この公演の位置づけ|オリジナルメンバー最後の卒業と、4代目リーダーへ

Juice=Juiceは2013年のメジャーデビュー時が5人で、植村あかりはその最年少だった。宮崎由加、金澤朋子と2人のリーダーを見送ったあと、2021年11月から3代目リーダーとしてグループを引っ張り、2024年6月14日のこの公演で卒業した。デビューから見ていた側の言い方をすれば、この日で「最初のJuice=Juice」が全員いなくなった。

ただし公演の作りはそこに寄っていない。卒業公演は卒業するメンバーの意向がかなり反映されると聞くが、この日は植村あかり自身の晴れ舞台というより、Juice=Juiceを次へ渡す舞台として組まれている。植村の卒業とともに段原瑠々が4代目リーダーになり、公演の最後は卒業曲ではなく『Goal〜明日はあっちだよ〜』で前を向いて終わる。曲目も、デビュー曲『ロマンスの途中』から2024年5月の最新シングルまでを1本に収めた総ざらいで、「今のJuice=Juice」がどこから来たかが1本で分かる。

セットリスト(Blu-ray収録順)

#
1OPENING
2私が言う前に抱きしめなきゃね (MEMORIAL EDIT)
3Borderline
4トウキョウ・ブラー
MC
5ロマンスの途中
6好きって言ってよ
7イジワルしないで 抱きしめてよ
8おあいこ
VTR
9ポツリと
10愛・愛・傘
11銀色のテレパシー
12FUNKY FLUSHIN'
13〜19メドレー:天まで登れ!/五月雨美女がさ乱れる (MEMORIAL EDIT)/伊達じゃないよ うちの人生は/CHOICE & CHANCE/大人の事情/チクタク 私の旬/アレコレしたい!
MC
20ナイモノラブ
21プライド・ブライト
22Fiesta! Fiesta!
23「ひとりで生きられそう」ってそれってねぇ、褒めているの?
24GIRLS BE AMBITIOUS! 2024
25Magic of Love
EN1Brilliance of memories(植村あかりソロ)
MC
EN2続いていくSTORY
EN3Wonderful World
MC
EN4Goal〜明日はあっちだよ〜

MCとサプライズ演出の中身はここでは書かない。曲順だけ見ても、初期のつんく♂曲(『ロマンスの途中』『イジワルしないで 抱きしめてよ』『五月雨美女がさ乱れる』)と2024年の新曲(『トウキョウ・ブラー』『ナイモノラブ』『おあいこ』)が同じ公演に並んでいるのが分かる。

✨ 『1=LINE』の見どころ|映像で観るならここを

『トウキョウ・ブラー』を3曲目で浴びる

この公演の映像を薦める理由を1つに絞るなら、『トウキョウ・ブラー』だ。2024年5月15日の18枚目のシングルに入った曲で、この春ツアーの時点ではまだ歌い始めたばかりだった。いまではライブの定番だが、この映像に残っているのは「おろしたて」の頃の演奏になる。オープニングの3曲目という早い位置に置かれていて、『私が言う前に抱きしめなきゃね』『Borderline』からの流れで一気に体温が上がる。この曲は2024年11月の武道館公演の映像にも入っているが、植村あかりを含む11人で歌う『トウキョウ・ブラー』が残っているのは、この公演の映像だけだ。私は現場で聴いたときは音の圧に持っていかれたが、映像だと歌割りと表情が見える。段原瑠々の芯の太さ、井上玲音の低音、松永里愛のフェイクが、どこで誰が支えているかまで分かる。

メドレー7曲で「最初のJuice=Juice」を一気に

中盤のメドレーは『天まで登れ!』から『アレコレしたい!』まで7曲。つんく♂が書いていた時期の曲が続けて来る。ハロプロのメドレーには「フルで聴きたかった」という不満が付き物で、それは後で書くが、この公演では狙いがはっきりしている。植村あかりがいた10年を、後半の新曲に渡す前に一度全部さらうためのブロックだ。『CHOICE & CHANCE』が短くても入っているのは、私にはうれしかった。メドレーが終わって『ナイモノラブ』『プライド・ブライト』に入ると、聴こえ方が変わる。ここが「渡す公演」の設計そのものだと思う。

『Brilliance of memories』と『おあいこ』、そして現場との差

植村あかりのソロ『Brilliance of memories』はアンコールの1曲目で、卒業の挨拶と地続きになっている。本編8曲目の『おあいこ』はつんく♂の作詞作曲で、私にはオリジナルメンバー最後の植村あかりへ向けた曲に聴こえる。U-NEXTにあるJuice=Juiceの公演映像9本のうち、『おあいこ』が入っているのはこの1本だけだ。この2曲を同じ公演で観られるのが映像の強みで、現場では感情のほうが先に来て歌詞まで追えなかったところが、映像だと言葉が入ってくる。

現場と映像で違って見えたものを正直に書く。武道館の客席で覚えているのは、ぐっと来る瞬間はいくらでもあったのに、全体としては笑顔の多い卒業公演だったということだ。映像はその笑顔をよく拾っている。ファンが円陣に加わるMCの構成も、客席からは自分がその一部で全体が見えなかったが、映像だと武道館全体がひとつになっているのが分かる。『ナイモノラブ』のコールが、シングルが出て1か月なのにもう全力で入っているのも映像で確かめられる。ハロヲタらしい光景だと思う。乗り切らないものもあるが、それは次の節で書く。

ここがすごい!

  • 植村あかりを含む11人で歌う『トウキョウ・ブラー』が残る、唯一の公演映像
  • 卒業公演なのに「渡す構成」で、今のJuice=Juiceに直結している
  • メドレー7曲で初期のつんく♂曲を総ざらいし、後半の新曲へつなぐ設計
  • 『Brilliance of memories』と『おあいこ』、植村あかりに結びつく2曲を同じ公演で

深いテーマ

卒業公演は「見送る」ものだと思われがちだが、この公演は「継ぐ」ことに軸を置いている。最後のオリジナルメンバーが自分の晴れ舞台にせず、次の11人へ渡す場にした。その選択が、翌年の『盛れ!ミ・アモーレ』につながる今の体制の土台になっている。

😅 ここが惜しい|難癖に近いが、2つ

率直に言えば、どちらも「どうしようもない」類の話だ。それでも書いておく。1つ目は、ハロプロの公演は音が良いので、武道館の音圧と客席の熱は映像に乗り切らない。現場に行った人が映像に物足りなさを感じるのは仕方なく、初めて観る人にはむしろ関係ない。2つ目は、春ツアーの各地で植村あかりがメンバーと1人ずつ歌った回替わりの曲が、武道館の本編では映像で流れる形だったこと(私の記憶と、円盤を買った人の声が一致している)。その11曲はBlu-rayの2枚目に全部入っているが、U-NEXTの配信では観られない。

ここが残念…

  • 武道館の音圧と客席の熱は映像では再現しきれない(現場に行った人ほど感じる)
  • 回替わりのデュエット11曲は本編に入っていない。全編はBlu-rayの2枚目だけで、配信には無い

🎭 印象的なシーン

『続いていくSTORY』を、今度は植村あかりが歌う

アンコール2曲目の『続いていくSTORY』は、2021年の金澤朋子の卒業公演でも歌われた曲だ。あのとき見送る側にいた植村あかりが、3年後に見送られる側で同じ曲を歌う。曲名の意味が、この公演で一段深くなる。オープニング3曲の勢いと、後半の『ナイモノラブ』から『プライド・ブライト』への流れも印象に残るが、1つ選ぶならここだ。

💭 視聴後の感情

観終わって残るのは、寂しさよりも「この先のJuice=Juiceを観よう」という気持ちだ。卒業公演の映像でこの感想になるのは珍しい。武道館を出たときの気持ちと、映像を観終えたときの気持ちが同じだった。植村あかりが自分の区切りより先の10年を優先した公演だったからだと思う。

こんな方におすすめ!

📺 配信サービス別・視聴ガイド

『1=LINE』はどのサブスクで観るのがおすすめ?

選択肢はU-NEXTしかない。31日間の無料体験で本編を観られるので、まずここから入るのが早い。円盤との違いは2枚目の有無で、本編を配信で観て、回替わりのデュエットまで観たくなったらBlu-rayに進む、という順番でいい。

視聴はこちらから

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Blu-rayで観られるもの

Blu-rayは2枚組で、2枚目に春ツアー各地の回替わり楽曲11曲(植村あかりと各メンバーのデュエット)と『Brilliance of memories』のMVが入っている。U-NEXTの配信は本編だけなので、ここが欲しい人は円盤になる。

🎬 このライブが好きなら、このライブも

3本ともU-NEXTで見放題。「卒業」と「区切り」の公演を、Juice=Juiceの中と、同じハロプロの外から1本ずつ選んだ。

Juice=Juice 10th Anniversary Concert Tour 2023 Final 〜Juicetory〜(2023年12月6日・日本武道館)

『1=LINE』の半年前、結成10周年ツアーの武道館。卒業公演ではないので祝祭の空気がそのまま残っていて、『Next is you!』『Dream Road〜心が躍り出してる〜』など、めったにやらない曲が入っている。『1=LINE』で「渡す構成」を観たあとに、渡す前の11人の全力を観ると厚みが出る。公開されている公演映像は『Va-Va-Voom』。

℃-ute ラストコンサート in さいたまスーパーアリーナ 〜Thank you team℃-ute〜(2017年6月12日)

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こちらは卒業ではなく解散。2017年6月12日、12年間の活動を締めた℃-uteの最後のコンサートで、活動全般にわたる曲で組まれたセットリストと8着の衣装で3時間を超える。『1=LINE』が「次へ渡す」公演だとすれば、こちらは「渡す先が無い」公演で、同じハロプロの区切りでもまったく違う重さがある。植村あかりの湿らない卒業と並べて観ると、どちらの選び方も分かる。。

アンジュルム コンサートツアー 2019春 ファイナル 和田彩花卒業スペシャル 輪廻転生 〜あるとき生まれた愛の提唱〜(2019年6月18日・日本武道館)

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私の推しの側から1本。スマイレージ時代からの初代リーダー和田彩花の卒業公演で、結成時から残っていた最後のメンバーが抜ける、という点で『1=LINE』と同じ型だ。武道館で2時間強。アンジュルムはここから今の体制へつながっていくので、Juice=Juiceの「渡す公演」と続けて観ると、ハロプロの卒業公演がどう作られているかが見えてくる。公式チャンネルが『赤いイヤホン』を公開している。

Juice=Juiceの9公演の一覧と観る順はJuice=Juiceのライブ映像ガイドにまとめてある。

📝 まとめ

『1=LINE』は、オリジナルメンバー最後の卒業公演でありながら、今のJuice=Juiceへ渡すことを最優先にした武道館だ。『トウキョウ・ブラー』の初期の演奏、メドレー7曲で振り返る10年、『Brilliance of memories』と『おあいこ』の2曲。この3つが1本に入っていて、U-NEXTで見放題になっている。

現場で観た人間として言うと、音の圧だけは映像に乗らない。それでも、笑顔の多い卒業公演だったことは映像のほうがよく分かった。『盛れ!ミ・アモーレ』から来た人は、まずこの1本でいい。

⭐ 作品の特徴

項目評価
パフォーマンス★★★★★
セットリスト★★★★★
演出・構成★★★★★
カメラ・編集★★★★☆
★★★★☆
満足度★★★★★

うさぎ亭的おすすめ度

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆

9.2 / 10

見送る公演ではなく、渡す公演。今のJuice=Juiceの入口はここだ。