『クリード 炎の宿敵』感想|敗者の30年に泣く傑作続編
※本ページはプロモーションが含まれています 個人的には、前作『チャンプを継ぐ男』よりもこちらが好きだ。こう言うと驚かれるかもしれないが、理由は単純で、この映画の主役は「勝者」ではなく「敗者」だから。ロッキーに負けてすべてを失った男が、30年の歳月を経て再びスクリーンに現れる。その老いた背中を見た瞬間、この続編が「ただの続編」では終わらないと確信した。 『クリード 炎の宿敵』は、アポロ・クリードの息子アドニスと、イワン・ドラゴの息子ヴィクターの因縁対決を軸にした物語だ。だがこの映画が本当に描いているのは、リ ...
映画『害虫』感想|宮崎あおい×蒼井優 W主演の衝撃作【配信情報あり】
※本ページはプロモーションが含まれています 20年以上前に初めてこの映画を観た。深夜、部屋の明かりを落として。終わった後、しばらく動けなかった記憶がある。宮崎あおいと蒼井優が、まだ無名に近かった10代の頃に共演した唯一の映画。それだけで語る価値がある作品だが、『害虫』の本当の衝撃はそこではない。 家にも学校にも居場所がない13歳の少女が、静かに、しかし確実に周囲を破滅させていく。「害虫」とは誰のことなのか。この問いが、観終わった後もずっと頭にこびりついて離れない。正直に言えば、万人に勧められる映画ではない ...
映画「清須会議」は惜しい|役者100点、脚本は及第点
※本ページはプロモーションが含まれています 役者は一流。脚本も悪くない。だが、観終わったあとに残ったのは「惜しい」という感覚だった。 三谷幸喜が自ら書き下ろした小説を映画化した『清須会議』。本能寺の変の直後、織田信長の後継者を巡って繰り広げられた「評定という名の戦」を、大泉洋、役所広司ら豪華キャストで描いた群像劇だ。合戦シーンがゼロという異色の時代劇であり、刀ではなく言葉と策略で天下が動く。その着眼点は見事。だが正直に言えば、観たあとにどっと疲れが押し寄せたのも事実だった。名優たちの演技合戦と、三谷幸喜の ...
孤狼の血 配信はどこ?善悪が崩れるヤクザ映画の傑作レビュー
※本ページはプロモーションが含まれています 正直に言うと、ヤクザ映画には少し距離を置いていた。暴力と怒号の応酬を2時間見続ける体力が、自分にあるのか確信が持てなかったからだ。 だが『孤狼の血』は、開始10分でその躊躇を恥じさせる映画だった。冒頭の養豚場のシーンから漂う異様な熱気。これはただのヤクザ映画じゃない——そう気づいた瞬間、もう目が離せなくなっていた。東映が本気で仕掛けた「善悪の境界線が溶けていく」ノワール映画。その正体を、ここに書き残しておきたい。 🎬 予告編 https://www.youtub ...
陰キャの絶叫が、ロックになる瞬間|ぼっちざろっく!レビュー
※本ページはプロモーションが含まれています この作品を初めて観たのは、何か軽いアニメでも流しておこうと思った夜だった。再生ボタンを押した時点で、まさか8話のあのシーンを何度も巻き戻すことになるとは想像もしていなかった。 『ぼっち・ざ・ろっく!』は、コミュ障の女子高生がバンドを通じて世界と繋がっていく物語だ。言葉にすればそれだけのこと。だが、この作品がただの日常アニメでも、ただの音楽アニメでもないことは、ライブシーンを一度でも観ればわかる。後藤ひとりにとって、ギターは趣味ではない。社会との唯一の接点であり、 ...
進撃の巨人 Season1 感想|全物語の頂点が、ここから始まる
※本ページはプロモーションが含まれています すべての物語の頂点に立つ作品がある。映画でも、ドラマでも、小説でもない。2013年に放送されたTVアニメ『進撃の巨人』Season1。筆者は全シーズンを完走した上で断言するが、この25話は「開幕」として、そしてひとつの物語として、他のあらゆるフィクションと比較しても頭ひとつ抜けている。 初めてこの作品に触れたとき、25話を一気に駆け抜けてしまった。「あと1話だけ」が止められない。残酷な世界、次々に発生する謎、その謎が溶けていく快感。観終わった後、しばらく現実に戻 ...
「茄子 アンダルシアの夏」配信中|47分に凝縮されたロードレースの熱狂
※本ページはプロモーションが含まれています 自転車のロードレースに興味がなくても構わない。この47分間が、その「知らなかった世界」をまるごと体験させてくれる。 筆者は毎年ツール・ド・フランスを追いかけるロードレースのライトファンだ。それでもこの作品を初めて観たとき、自分が知っているはずの「レースの面白さ」を、たった47分のアニメに鮮やかに言い当てられた感覚があった。逃げの緊張、集団の駆け引き、スプリントの爆発力。スポーツの本質をここまで凝縮した映像作品は、実写を含めてもそう多くない。『茄子 アンダルシアの ...
『ボーダーライン』感想|狼の住む地で、正義は沈黙する
※本ページはプロモーションが含まれています 「君は狼ではない。ここは狼たちの棲む地だ」 この作品を観たのは、確か真冬の深夜だった。暖房の効いた部屋で毛布にくるまりながら再生ボタンを押したのだが、開始5分で背筋が凍った。冒頭の突入シーンで壁の中から現れるもの。あれを見た瞬間、自分がいかに「安全な場所」にいるかを思い知らされる。メキシコ麻薬戦争の闇を、ドゥニ・ヴィルヌーヴが容赦なく叩きつけてくる121分。社会派サスペンスの傑作であると同時に、観る者の倫理観を根底から揺さぶる問題作でもある。 映画ファン、とりわ ...
「TIME タイム 感想|設定は天才、脚本は惜しい近未来SF」
※本ページはプロモーションが含まれています コーヒー1杯、4分。バスに乗れば1時間。高級車を買うなら59年。この映画の世界では、すべての支払いが「自分の残り寿命」で行われる。2011年公開の『TIME/タイム』は、「時は金なり」という使い古された格言を、文字通りSFの設定として具現化してみせた。監督はアンドリュー・ニコル。『ガタカ』『トゥルーマン・ショー』で世界の「見えない歪み」を暴いてきた男が、今度は時間=通貨=命という三位一体の等式で、資本主義の構造をむき出しにする。 この作品を初めて観たのは、配信で ...
『アオのハコ』はなぜ人気?ハーレムに逃げないジャンプラブコメの新境地
※本ページはプロモーションが含まれています 「あだち充に追いつくのに40年かかった」——あるレビュアーはそう評した。週刊少年ジャンプにおいて、コメディ抜きの恋愛漫画がヒットすることなど、長らく不可能だと思われていた。ラッキースケベもハーレム展開もない、誠実な恋愛を真っ直ぐに描く。『アオのハコ』は、そんな新境地を切り拓いた作品だ。 バドミントン部の猪股大喜と、バスケ部のエース・鹿野千夏。そして、大喜に想いを寄せる新体操部の蝶野雛。三人の青春が交錯する本作は、「負けヒロイン」雛の魅力が視聴者の心を鷲掴みにした ...









