進撃の巨人ファイナルシーズンは何話まで?物語が反転する全28話

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Final Seasonの第1話で物語を背負っているのは、エレンではない。名前も知らない国の、名前も知らない少年兵だ。塹壕から突撃していくその背中を追いかけるところから、最終章は始まる。壁の中の物語を59話ぶん追いかけてきた人間にとって、これは事故のような幕開けに見える。

先に白状しておくと、筆者は原作を先に読んでいる。だからアニメを観たときには何が起きているか分かっていたし、混乱はしなかった。そのうえで書くが、初見でこの幕開けに放り込まれたら混乱すると思う。ただ、その混乱は事故ではない。Final Seasonは、これまで積み上げてきた物語を反転させるために作られている。この記事ではPart.1とPart 2が何話から何話までなのか、そこで何が起きるのか、そしてどこで観られるのかをまとめて片づける。

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その前に壁の中の話を通しておきたいなら、進撃の巨人3期から。あの22話を観ているかどうかで、60話の突き放し方の意味がまるで変わる。

🎬 予告編

Part.1のPVは、これまでのシリーズと空気がまるで違う。巨人と戦う立体機動の爽快感ではなく、砲弾と塹壕と軍靴が並ぶ。この時点で「今回は戦争の話だ」と宣言している。

こちらはPart 2のPV。Part.1で撒かれたものが一斉に動きはじめる12話ぶんの予告になっている。

この作品を3行で

  • 敵側の視点から始まり、これまでの物語が丸ごと裏返る最終章
  • Part.1が16話、Part 2が12話、合わせて全28話(シリーズ通算60話〜87話)
  • 全員が正義に従って動き、その全員のせいで悲劇が進む

作品情報

  • 作品名:進撃の巨人 The Final Season(Part.1/Part 2)
  • 話数:全28話(Part.1 全16話+Part 2 全12話/シリーズ通算60話〜87話)
  • 放送:2020年12月〜2021年3月(Part.1)/2022年1月〜4月(Part 2)
  • 監督:林祐一郎
  • アニメーション制作:MAPPA
  • 原作:諫山創(講談社)
  • 音楽:澤野弘之/KOHTA YAMAMOTO
進撃の巨人 The Final Season ポスター
出典:TMDB

📖 あらすじ・ネタバレなし

舞台は壁の中ではない。海の向こうにあるマーレという軍事国家だ。この国ではエルディア人が「悪魔の末裔」として収容区に押し込められ、巨人になれるという理由だけで兵器として重宝されている。彼らが人間扱いされる道はひとつ、戦士に選ばれて国のために戦うことだけだ。物語は、その候補生である子どもたちが塹壕にいるところから静かに始まる。

そこにパラディ島の名前が出てくる。壁の中で「人類最後の生き残り」だと思っていた人々は、外の世界では100年前から憎まれ続けてきた「駆逐すべき悪魔」だった。Season3までの物語が、そっくりそのまま敵側の教科書として語り直される。ここから先、誰が加害者で誰が被害者なのかは、話が進むたびに入れ替わっていく。

✨ この作品の魅力

ここがすごい!

  • 主人公側が「攻めてくる側」に回る、視点の完全な反転
  • 敵役の一人ひとりに、こちらが納得してしまう言い分がある
  • 積み上げてきた59話ぶんの前提が、意味を変えて回収されていく
  • 28話に捨て回がひとつもない

物語が反転する。今度はこちらが侵略者になる

Season3までの進撃の巨人は、壁の中からしか世界を見ていない。壁の外は空白で、そこから来るものは全部脅威だった。Final Seasonは、その空白のほうに立って物語を始める。マーレから見れば、パラディ島は100年前に世界を蹂躙した民族が閉じ込められている隔離島であり、調査兵団は海を渡ってくる化け物の群れだ。

この反転がえげつないのは、新しい事実を足していないところにある。Season1で壁が壊された日、Season2であの正体が判明した日、Season3で王政が倒れた日。起きた出来事はひとつも変わっていない。ただ立ち位置を移動しただけで、同じ出来事が正反対の意味になる。ライナーが壁を壊すまでの数年間を彼の側から追う回を観たあとでは、Season1の第1話が別の映画に見えてくる。あの日、壁を壊した側にも、家に帰りたい理由があった。

敵側の少年に「お前と自分は同じだ」と言わせても白々しくならないのは、それを言える土台を16話かけて作ってあるからだ。マーレの収容区で暮らす子どもたちが、何を教えられ、何を信じ、何のために志願するのか。そこを丁寧に見せてから、ようやく両者を同じテーブルにつかせる。これは敵に感情移入させるための道具立てというより、敵という枠組みそのものを壊しにきている

ただ、この反転はPart.1を観ている最中には気持ちよくない。気持ちよくないように作ってある。爽快感は取り上げられ、代わりに居心地の悪さが置かれる。それが仕込みだと分かるのはPart 2に入ってからで、逆に言えばPart.1だけで判断すると、この作品はただ複雑で暗いだけの16話に見えてしまう。

全員が正義に従って動き、その結果として悲劇が起きる

Final Seasonには、分かりやすい悪人がほとんど出てこない。マーレの軍人は自国を守っている。エルディア復権派は同胞を解放しようとしている。パラディ島の兵団は島の人間を生かそうとしている。義勇兵たちは自分の国のやり方に耐えられなくなった人々だ。全員が信念に基づいて動いていて、その全員のぶんだけ悲劇が起きる

この構造をいちばん鋭く体現しているのがガビという少女だ。マーレ側の戦士候補生で、島の悪魔を殺すことに一点の疑いも持っていない。彼女はエレンと同じ形をしている。シリーズの冒頭でエレンが巨人を一匹残らず駆逐すると叫んだ、その熱量がそのまま反対を向いている。鏡に映した少年と少女が、それぞれ正しいと信じたまま近づいていく。

だからこの物語には、勝っても解決しない構造が最初から埋め込まれている。どちらが勝っても、負けた側に次のエレンと次のガビが生まれる。それを100年繰り返してきた世界の話だと分かった瞬間に、観ているこちらの立ち位置も揺れる。

エレンは変わったのか、変わっていないのか

Part.1のエレンは別人に見える。表情が減り、口数が減り、味方に対しても冷たい。ここで「エレンが好きだったのに嫌いになりそう」と感じる人は多いはずで、それは正しい反応だ。ただ「1話から何も変わっていない」という読み方も同じくらい成立する。自由を奪われることに耐えられない、という一点だけで動いているのは最初からずっと同じで、変わったのは彼ではなく、彼の見ている世界の大きさのほうだった、という見立てだ。

面白いのは、この作品がどちらの読みも潰さないところにある。観るたびに答えが動く。

深いテーマ

この28話が扱っているのは、憎しみの連鎖をどこで止めるかという問題だ。100年前の罪、それへの報復、報復への報復。誰も最初の一撃を目撃していないのに、全員が返し続けている。作中では「森から出る」という言葉でこの状態が名指しされ、出ようとする人間と、出られないまま次の世代に渡してしまう人間が並べて描かれる。そして連鎖を止められる場所に立たされるのは、たいてい、いちばん深く憎んでいた側の人間だ。

🎭 印象的なシーン

ライナーとエレンが、同じ席につく場面がある。かつて敵として殺し合った二人が、追い詰められた顔で向かい合い、自分たちがやってきたことを確認していく。ここまで積み上げてきた憎しみが、憎しみのまま解けないで残るのが良い。和解も決着もしないまま、「同じだった」という事実だけがそこに置かれる

もうひとつは、エレンが父の記憶を遡っていく一連だ。過去の映像を辿りながら、この物語の題名が何を指していたのかがようやく像を結ぶ。何が判明するかはここでは書かない。ただ、それが分かった瞬間に、Season1の第1話が何の話だったのかまで遡って書き換わるとだけ言っておく。伏線回収という言葉が軽く感じるくらいの範囲が動く。

そして、いちばん重く効いてくるのはもっと静かな場面だ。ある兵士を撃った少女が、のちにその兵士がかつて救った子どもに助けられる。そのまま、撃たれた兵士の家族と同じ食事の席に着かされる。そこで交わされる会話が、この作品でいちばん重い決断になっている。憎しみの連鎖を断ち切るという主題を、演説ではなく食卓の会話だけでやってのけた。ここを観るために28話あったと言ってもいい。

あいつらを駆逐してやる……この世から……一匹、残らず!

シリーズの冒頭、母を喰われたエレンが叫んだ言葉だ。このとき向かっていた先は巨人だった。同じ宣言がPart 2の第80話で戻ってくるとき、エレンは「そこにある命をこの世から駆逐するまで」と告げている。言い回しはほとんど変わらないのに、宛先が巨人から人間に入れ替わっている。この28話が何をしたのかは、それだけで分かる。

💭 視聴後の感情

観終わったあと、最初に来るのは爽快感ではない。誰かの勝利を喜べる終わり方をしないし、Part 2の最後は解決ではなく加速で閉じる。それでも筆者は、この28話を観て、さらに原作を最後まで読み終えたときに過去最高のストーリーだと確信した

理由ははっきりしていて、無駄な話が一話もないからだ。それどころか、すべてのセリフに意味がある。何気なく流れた一言が20話あとで刺さり直す、という現象が全編で起き続ける。この構造を最初から設計していたのだとしたら、諫山創は本当に恐ろしい天才だと思う。もっとも、それに気づけるのは2周目からで、1周目は普通に置いていかれる。

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こんな方におすすめ!

😅 ここが惜しい

Part.1の入口は、初見だと確実に置いていかれる

絶賛しておいて何だが、ここは正直に書く。Part.1の序盤は新しい人名・国名・組織名が一気に出てきて、しかも時系列が飛ぶ。知っている顔は出てこない。前のシーズンから何年経ったのかも、しばらく分からないまま進む。筆者は原作を先に読んでいたので迷子にならずに済んだが、アニメだけで追っている人がここで振り落とされるのは無理もないと思う。

対処法は単純で、序盤は人名を覚えようとしないことだ。「どっちの国の人間か」だけ追っていれば、3〜4話目には自然と繋がる。そこまで来れば、あとは最後まで一気に持っていかれる。ここで止めてしまうのがいちばんもったいない

ここが残念…

  • Part.1前半は登場人物と国名が一度に増え、初見では関係が追いづらい
  • Part.1とPart 2の放送に約9か月の間隔があり、視聴体験として分断されている(今から観る人には関係のない話ではある)

こんな方には向かないかも…

  • 壁の中で巨人と戦う爽快感をもう一度味わいたい方
  • 主人公には最後まで正しくあってほしい方

サウンドトラック購入先

澤野弘之とKOHTA YAMAMOTOによるサントラ。戦場の音が主役になる回が多いぶん、劇伴の担当範囲が前シーズンより広い。

🎬 「進撃の巨人 ファイナルシーズン」が好きなら絶対見るべき3選

硫黄島からの手紙

Final Seasonがやったことを、実写映画で先にやっている一本。イーストウッドは同じ硫黄島の戦いをアメリカ側から一本、日本側からもう一本撮った。片方を観たあとにもう片方を観ると、同じ砲撃が別の意味を持って聞こえる。敵側の視点に立つという体験がどれだけ効くかを、141分で味わえる。

👉 『硫黄島からの手紙』のレビューはこちら

PLUTO

手塚治虫『鉄腕アトム』の一篇「地上最大のロボット」を、浦沢直樹が描き直した全8話。戦争が終わったあとに残った憎しみが誰を壊していくかという話で、連鎖を止めようとする者が主役に置かれている。ガビの役割に胸を掴まれた人は、こちらでも同じ場所を掴まれる。

👉 『PLUTO』のレビューはこちら

鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST

国家が民族を焼いた過去を背負ったまま進む物語で、加害の側にいた兵士たちが主要人物として出てくる。全64話で伏線を残さず回収しきる構成力も含めて、「一話も無駄がない」の隣に置ける数少ないアニメだ。

👉 『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のレビューはこちら

📺 配信サービス別・視聴ガイド

『進撃の巨人 ファイナルシーズン』はどのサブスクで観るのがおすすめ?

Part.1・Part 2ともに主要5社が見放題なので、「どこなら観られるか」で迷う必要はない。選ぶ基準になるのは次の3つだ。

  • Season1から通しで観直したいなら、無料体験が31日間あるU-NEXT。全4シーズン+完結編で30時間を超えるので、期間の長さがそのまま効く
  • 月額を抑えたいならDMM TV。アニメの本数に対して料金が安く、14日間の無料体験がある
  • すでに加入しているならAmazon Prime Video・Disney+・Netflixのどれでも観られる。新しく契約する必要はない

📚 原作情報

原作は全34巻で完結済み。アニメのFinal Season第1話「海の向こう側」は、単行本では23巻の1話目(第91話)にあたる。マーレ編を文字と絵で読み直すと、アニメで置いていかれた人物関係が一度で整理できる。すべてのセリフに意味がある、というのは読み返して初めて分かる種類の話だ。

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▶ 続きは『完結編』レビューへ


前編・後編・劇場版の違いと、最後の7話

📚 進撃の巨人 全94話一気見ガイド


見る順番・全話数・配信まとめはこの1本で

📝 まとめ

進撃の巨人 The Final Seasonは、Part.1が16話、Part 2が12話、合わせて全28話。シリーズ通算では60話から87話までにあたり、この先に完結編(前編・後編)が控えている。「何話まであるのか」の答えを先に置いておくと、Part.1の入りづらさもだいぶ耐えやすくなるはずだ。

この28話がやったのは、物語を進めることではなく物語を反転させることだった。敵には敵の正義があり、今度はこちらが侵略する側に回る。全員が正しさに従って動き、そのぶんだけ悲劇が積み上がっていく。そして、その連鎖を断ち切る役目は、いちばん憎しみに近い場所にいた少女に託される。ここまで来て、進撃の巨人はようやく本題に入った。残すは完結編のみだ。

⭐ 作品の特徴

項目評価
ストーリー★★★★★
世界観★★★★★
キャラクター★★★★★
作画・映像★★★★☆
音楽★★★★★
初見での入りやすさ★★★☆☆

うさぎ亭的おすすめ度

⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆

9.8 / 10

59話かけて積んだ物語を、28話で裏返す