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物理は難しい。話は難しくない。地球の寿命が尽きかけた時代に、元パイロットの父親が宇宙へ出ていく。出発の前に10歳の娘と交わしたのは「必ず帰ってくる」という約束で、169分はほとんどその約束ひとつで進んでいく。ワームホールもブラックホールも相対性理論も、父と娘のあいだに距離と年月を積み上げるために置かれている。そう読めば、理屈で置いていかれても、物語からはこぼれ落ちない。
クリストファー・ノーランの作品で並べると、私の中では『インセプション』の少し下に入る。下と言っても7点台は付く。10月10日にNHK BSP4Kで4K版が流れたばかりの今、観るか迷っている人には勧める1本だ。ここでは物理の予習を最低限で済ませて、配信先と、観てから引っかかる点までを結末抜きで書く。放送で観終わって「あの本棚は何だったのか」が気になっている人は、後半のネタバレ解説へ飛んでほしい。
📺 『インターステラー』はどこで見れる?【2026年10月版】
| サービス | 配信状況 | 無料体験 |
|---|---|---|
| U-NEXT | 見放題 | 31日間 |
| Amazon Prime Video | 見放題 | 30日間 |
| Hulu | 見放題 | なし |
| DMM TV | 配信なし | - |
| Netflix | 配信なし | - |
👉 各サービスの詳細な違いはVOD比較7社徹底解説を参照。
2026年10月4日に確かめた時点で、見放題はU-NEXT・Amazonプライム・ビデオ・Huluの3社だ。Netflixは日本では配信しておらず、DMM TVにも入っていない。配信状況は変わることがあるので、観る前に各サービスの公式サイトでも確かめてほしい。
観るならU-NEXTがおすすめ。31日間の無料体験があるので、放送で観た人が気になった場面だけを観返すのにも使える。2晩に分けて観ても、無料期間には十分収まる。
📅 U-NEXTで今月消える作品・入る作品はU-NEXT配信カレンダー(毎月更新)にまとめてある。
テレビでは、2026年10月10日(土)21時にNHK BSP4Kで4K版が放送された(字幕版)。前の週の『インセプション』と同じ枠だった。見逃した人は配信で観られる。📣 翌週10月17日(土)21時の同じ枠には『TENET テネット』の4K版が予定されている。10月にテレビで流れるほかの映画は10月のテレビ映画放送予定にまとめた。
ノーランで、場所によって時間の速さが違う映画はもう1本あって、『インセプション』がそれだ。あちらは宇宙ではなく夢の階層で同じことをやる。見放題の3社も同じだ。
🎬 予告編
この作品を3行で
- 滅びかけた地球を離れる父と、待たされる娘の169分
- 1時間が地球の7年になる星で、時間そのものが敵に回る
- 物理が分からなくても、約束の行方だけ追えば最後まで観られる
作品情報
- 作品名:インターステラー(原題:Interstellar)
- 公開年:2014年(日本公開は11月22日)
- 監督:クリストファー・ノーラン
- 脚本:ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン
- 出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、マッケンジー・フォイ、マイケル・ケイン、ケイシー・アフレック、ティモシー・シャラメ、エレン・バースティン、マット・デイモン
- 音楽:ハンス・ジマー
- 上映時間:169分
- 受賞:第87回アカデミー賞 視覚効果賞

📖 トウモロコシしか育たない地球から(あらすじ・ネタバレなし)
近未来の地球では、作物を枯らす病気が広がり、砂嵐が毎日のように町を覆っている。小麦もオクラも育たなくなり、残っているのはトウモロコシだけだ。元NASAのパイロットだったクーパー(マシュー・マコノヒー)は、義父と、15歳の息子トム、10歳の娘マーフと一緒に農場を営んでいる。マーフは、自分の部屋の本棚から本がひとりでに落ちるのを「幽霊のしわざ」だと言い張っていた。
ある日、その部屋の床に積もった砂の筋が、どこかの座標を指していると気づいたクーパーは、マーフを連れてそこへ向かう。たどり着いたのは、表向きは解体されたはずのNASAの秘密施設だった。ブランド教授(マイケル・ケイン)は、土星の近くに現れたワームホールの向こうへ、人類が移り住める星を探しに行く計画を明かし、操縦士として加わってほしいと頼む。いつ帰れるか分からない旅に出るか、子どもたちのそばに残るか。クーパーはマーフに「必ず帰ってくる」と言い残して、宇宙船エンデュランス号に乗り込む。
👥 インターステラーの登場人物と相関図
『インターステラー』は、序盤のうちに地球の家族、NASAの科学者たち、船に乗る仲間と、顔ぶれが一気に増える。しかもマーフとトムは、子どもの頃と成長後を別の俳優が演じる。そこで、物語の始まりで分かる主な11人と、3つの所属を1枚にまとめた。幽霊の正体や旅の行方、誰がどうなるかは載せていない。

軸になるのは、赤い矢印の流れだ。NASAの秘密施設を率いるブランド教授が、元パイロットのクーパーに、人類の移住先を探す宇宙船エンデュランス号の操縦士を頼む。受けるということは、地球の農場に残る娘と息子のそばを離れるということで、その別れ際に娘マーフへ告げるのが「必ず帰ってくる」という約束だ。点線は個人のつながりで、船に乗るクーパーと地球の家族をつないでいる。教授の娘アメリアも、同じ船に乗り込む。
図の上の段にいるマーフとトムは、円の左が幼い頃、右が成長後の俳優だ。別人に見えても同じ人物だ。下の段の船の仲間は、クーパーのほかにアメリア、ロミリー、ドイルの科学者3人と、板のような形のロボットTARS、同じくロボットのCASEだ。NASAの枠にいるマン博士は、教授の計画で先に旅立った調査員のひとりとして押さえておけばいい。
| 所属 | 名前 | どんな人 | 演じた俳優 |
|---|---|---|---|
| クーパー家(地球の農場) | マーフ(マーフィー・クーパー) | クーパーの娘。10歳の頃は、自室の本棚から本が落ちるのを「幽霊のしわざ」だと言い張る。成長後は別の俳優が演じる | マッケンジー・フォイ(10歳)/ジェシカ・チャステイン(成長後) |
| クーパー家(地球の農場) | トム・クーパー | クーパーの息子。15歳の頃は父や妹と同じ農場で暮らす。成長後は別の俳優が演じる | ティモシー・シャラメ(15歳)/ケイシー・アフレック(成長後) |
| クーパー家(地球の農場) | ドナルド | クーパーの義父。同じ農場で暮らし、孫のマーフとトムを一緒に育てている | ジョン・リスゴー |
| NASA(ブランド教授の計画) | ジョン・ブランド教授 | 解体されたはずのNASAの秘密施設を率いる科学者。移住先を探す計画の責任者で、クーパーがかつてNASAで関わった人物でもある | マイケル・ケイン |
| NASA(ブランド教授の計画) | マン博士 | ラザロ計画で先に旅立った調査員のひとり。移住先の候補になっている惑星から、いまも信号を送っている | マット・デイモン |
| エンデュランス号の乗組員 | ジョセフ・クーパー | 元NASAのテストパイロットで、いまは農場主。娘マーフに「必ず帰ってくる」と約束し、操縦士として旅に出る | マシュー・マコノヒー |
| エンデュランス号の乗組員 | アメリア・ブランド博士 | ブランド教授の娘で、NASAの科学者。エンデュランス号で、移住先の惑星の調査を受け持つ | アン・ハサウェイ |
| エンデュランス号の乗組員 | ニコライ・ロミリー博士 | NASAの科学者で、エンデュランス号の乗組員。クーパーやアメリアと同じ船で旅に出る | デヴィッド・ジャーシー |
| エンデュランス号の乗組員 | ドイル博士 | NASAの科学者で、エンデュランス号の乗組員。ブランド教授の計画に加わった調査隊の一員 | ウェス・ベントリー |
| エンデュランス号の乗組員 | TARS(ターズ) | 乗組員を助ける板のような形のロボット。ユーモアの設定値を変えられ、冗談を言う | ビル・アーウィン(声) |
| エンデュランス号の乗組員 | CASE(ケース) | TARSと同じく、エンデュランス号の乗組員を助けるロボット | ジョシュ・スチュワート(声) |
🧭 観る前の解説|理屈はどこまで分かっていればいい?
観る前に読んでも損をしない範囲で書く。本棚の正体には触れない。
タイトル「インターステラー」の意味
英語の interstellar は「恒星と恒星のあいだの」という意味の形容詞だ。太陽系の外、星と星のあいだに広がる空間を指す。ワームホールをくぐって、太陽とは別の恒星のまわりを回る惑星へ行く。この旅の距離が、そのまま題名になっている。
相対性理論を知らないと楽しめない?
知らなくていい。作中で登場人物が説明してくれる理屈のうち、筋を追うのに要るのは次の2つくらいだ。
- ワームホール:遠く離れた2つの場所をつなぐ近道。土星の近くに開いた穴を抜けると、別の銀河まで一気に行ける
- 時間の遅れ:重力がとても強い場所では、時間がゆっくり進む。最初に降りる星は巨大なブラックホール「ガルガンチュア」のすぐそばにあり、そこでの1時間が地球の7年にあたる
宇宙船に乗っている側と地球で待っている側では、流れている時間の量が違う。これさえ頭にあれば、後半に置いていかれることはない。理論物理学者のキップ・ソーンが製作総指揮と科学監修に入っていて、ブラックホールの映像もその計算をもとに作られている。黒板いっぱいの数式が出てくる場面は、本物らしさの手触りとして流してしまって構わない。
キャスト|若いティモシー・シャラメも出ている
主演のマシュー・マコノヒーは、同じ2014年に『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー主演男優賞を取ったばかりだった。宇宙へ同行する科学者アメリアをアン・ハサウェイ、その父ブランド教授を、ノーラン作品の常連マイケル・ケインが演じる。娘のマーフは、子ども時代をマッケンジー・フォイ、大人になってからをジェシカ・チャステインが演じている。息子トムの少年時代は、まだ大きな役で知られる前のティモシー・シャラメだ(大人のトムはケイシー・アフレック)。
続編はある?
『インターステラー』に続編はなく、2026年10月の時点で公式に発表されたものもない。ノーランのいちばん新しい作品は、2026年9月11日に日本で公開された『オデュッセイア』だ。アン・ハサウェイとマット・デイモンがまたノーラン作品にそろっていて、英雄が10年かけて故郷へ帰ろうとする話になっている。「帰る」ことが軸にある点では、本作と地続きの1本だ。
✨ 約束ひとつで、宇宙の端まで|この作品の魅力
これは宇宙SFの形をした、169分の帰り道だ。
ここがすごい!
- 出発の朝の「必ず帰ってくる」を、終盤まで回収しに行く
- 1時間が地球の7年になる星を境に、時間の流れの差がそのまま家族の痛みに変わる
- 山と見まがう大波、雲まで凍った星、光の輪をまとったブラックホール。宇宙の景色が、どれも初めて見る形で出てくる
- 第87回アカデミー賞で視覚効果賞。ハンス・ジマーのパイプオルガンと、音の消えた宇宙が交互にやってくる
約束がひとつあれば、物理が分からなくても迷わない
出発の朝、マーフは父を見送らない。行かないでと言ったのに行くのかと怒ったまま、部屋から出てこない。クーパーは腕時計を置いていき、ドアの外から「必ず帰ってくる」と繰り返す。宇宙へ出る前に、この映画が最後まで使う材料はもう全部出ている。
そこから先の169分は、この別れを回収しに行く旅になる。ワームホールを抜けても、ブラックホールに近づいても、カメラは何度も地球の農場へ戻ってきて、待っている側にも同じだけ時間が流れていることを見せる。宇宙の場面がどれだけ大きくなっても、物語の目盛りはずっと「マーフのところへ帰れるのか」に合わせてある。理屈の説明についていけなくなっても、次にクーパーが何を失いかけているのかだけは、誰が観ても分かるように作ってある。
この映画で父と娘を隔てているのは、光の速さでも縮まらない距離と、取り戻せない年月だ。隔てられるだけ隔てておいて、最後に一本だけ線を通す。宇宙の映画を観ていたはずが、終わってみると家族に宛てた長い手紙を読み終えたような気分になっている。
「1時間が7年」は、数字のまま終わらない
最初に降りる水の惑星では、ほんの数時間の作業のつもりが、思わぬ足止めを食う。船に戻ったとき、母船で待っていた仲間は23年ぶん年を取っている。そしてクーパーは、そのあいだに地球から届いていたビデオメッセージを再生する。画面の中の息子は高校を出て、自分の家族を持ち、やがて父に返事を求めなくなる。最後に映る娘は、父が出ていったときと同じ年齢になっている。
マコノヒーはこの場面を、ほとんどモニターの前に座ったまま演じきる。言葉で返す相手はもういない。宇宙の怪物より、時計の針のほうが怖い映画なのだと、ここで腹に落ちる。怖いと書いたが、画面で起きているのは男がモニターの前で泣いていることだけで、宇宙船は揺れてもいない。
見たことのない宇宙と、音が消える瞬間
水の惑星は膝ほどの浅い海なのに、波だけが山の高さになる。氷の惑星では雲まで凍りつき、空に氷の塊が浮かんでいる。宇宙空間の場面では爆発しても音がしない。轟音から急に音が抜けると、広さより先に心細さがやってくる。そこへハンス・ジマーのパイプオルガンが重なる。板のような形のロボットTARSは、ユーモアの設定値を75%に下げられても冗談をやめない。重い場面が続くので、このロボットが喋ると少し助かる。
深いテーマ
旅の途中で、アメリアは「愛は、時間と空間を超えて感じ取れる唯一のものかもしれない」という趣旨のことを言う(原語では Love is the one thing we're capable of perceiving that transcends dimensions of time and space.)。科学者の口から出るにはずいぶん踏み込んだ言葉で、同じ船の誰も素直には頷かない。
それでも映画は、相対性理論で組み上げてきた世界の最後のひとかけらを、この言葉の側に預けている。理屈で詰められるところまで詰めておいて、一点だけ跳ぶ。ここを穴と見る人と、わざと空けた窓と見る人がいる。「ここが惜しい」の2つ目は、穴と見た側の話だ。『2001年宇宙の旅』が人類を遠くから眺めた映画なら、こちらは同じ宇宙で家族の時間を測っている。
🎭 印象的なシーン
ひとつ目は、水の惑星の大波だ。遠くに連なる山だと思って眺めていたものが、少しずつこちらへ寄ってくる。山ではなく波だと分かった瞬間から、観ている側もここでの1分が地球の何日にあたるのかを勘定しはじめる。計算すると、1分でおよそ40日。浅い水をかき分けて船へ戻ろうとする数十秒が、地球では季節がひと巡りするほどの長さになる。

ふたつ目は、ブランド教授がディラン・トマスの詩を口にする場面。“Do not go gentle into that good night”(あの穏やかな夜に、おとなしく身を任せるな)。老いや死へ静かに目を閉じるな、最後まで抗え、という詩で、宇宙へ人を送り出す側の祈りとして作中に何度か出てくる。マイケル・ケインの低い声で読まれると、出ていく者より残る者の言葉に聞こえてくる。
みっつ目は終盤、きりもみ状態で回り続ける母船に、クーパーが手動でドッキングを試みる場面。ロボットに無理だと告げられて、彼は “No. It's necessary.”(いや、必要なんだ)と返す。ジマーの「No Time for Caution」が鳴り続けるなか、回転する画面と、回転を止めて合わせようとする操縦桿の手元が交互に映る。この数分間だけは、理屈を忘れて座席から身を乗り出す。

💭 視聴後の感情
ブラックホールの理屈の細部は、観終わると案外早く頭から抜けていく。残るのは、モニターの前で23年ぶんのメッセージを再生していた男の顔のほうだ。しばらく連絡を返していない家族の顔が、ふと浮かぶ種類の映画でもある。会いたい人に簡単には会えない時期を経験したあとだと、ビデオメッセージの場面は2014年の公開当時とはまた違う重さで届く。
3時間近い上映時間は長い。長いのに、終盤は時間が足りないように感じさせる。宇宙の時間と地球の時間がずれていく話を、観ている側の時間感覚ごと揺らしてくるのだから、上映時間の長さにもちゃんと役目がある。
週末の夜にまとめて観るなら、U-NEXTの31日間無料体験で見放題の対象になっている。
こんな方におすすめ!
- ノーランの映画で、仕掛けより親子の話が前に出る1本を探している人
- 宇宙SFは得意でなくても、親子の話、とくに父と娘の話には弱い人
- 長さと難しさの評判で後回しにしてきた人(理屈より約束を追えば、最後まで観られる)
😅 ここが惜しい|169分すべてが同じ密度ではない
点は『インセプション』より少し下に付けている。気になる点を3つ挙げておく。
宇宙へ出るまでが長い
上映時間の4分の1ほどは地球の場面だ。砂嵐の農場、学校の面談、本棚の「幽霊」。どれもあとで効いてくる種まきなのだが、宇宙の映画を観るつもりで座った人には、なかなか発射台が見えてこない。ここで集中が切れると、後半で返ってくるものまで薄くなるのがもったいない。
説明の多い場面と、説明のない場面の差
NASAの会議室や船の中では、黒板やホワイトボードの前で数式の話がたっぷり続く。ところが物語がいちばん大きく跳ぶところでは、理屈の橋がほとんど架かっていない。説明がほしいところで説明が止まり、要らないところで続く。都合よく道が開けたように見える瞬間があるのは、この配分のせいだと思う。
アメリアの言葉に、乗れない人もいる
次に降りる星を選ぶ場面で、アメリアは科学者としての根拠より、個人的な思いを持ち出す。上の「深いテーマ」で書いた愛の話がそれで、ここから先の彼女の言動に置いていかれる人は少なくない。役が弱いというより、映画が「愛」の主張を彼女ひとりに背負わせすぎている。アン・ハサウェイの熱演が、かえって唐突さを目立たせてしまう場面だ。
ここが残念…
- 地球の場面が長く、宇宙へ出るまでに上映時間の4分の1ほどかかる
- 数式の説明は多いのに、物語が跳ぶところでは理屈の橋が架かっていない
- 「愛」の主張をアメリアひとりに背負わせすぎて、彼女の言動が唐突に見える
こんな方には向かないかも…
- SFに厳密な科学の正しさを求める人(最後は理屈の外へ一歩踏み出す)
- 宇宙の場面だけを目当てにしている人(最初の4分の1ほどは地球の農場が舞台)
- 観ながら一時停止して理屈を調べたくなる人(止めるたびに、地球と宇宙の時間の差が積み上がっていく感覚が途切れる)
サウンドトラック購入先
音楽はハンス・ジマー。配信されている拡張版は全30曲で、水の惑星の場面の「Mountains」、終盤のドッキングで鳴る「No Time for Caution」も入っている。
- Spotify:配信あり
- Apple Music:配信あり
🎬 「インターステラー」が好きなら絶対見るべき3選
インターステラーが最後に跳んだところを、科学で埋めた映画・父子で埋めた映画・ロボットで埋めた映画の3本。
オデッセイ(リドリー・スコット監督・2015年)
火星にひとり取り残された植物学者が、手元の知識だけで生きて帰ろうとする。インターステラーが最後の一歩を気持ちの側に預けたのに対して、こちらは最初から最後まで科学で押し切る。じゃがいもを育て、水を作り、計算で帰り道を探す。終盤の「理屈の橋がない」ところが引っかかった人ほど、この映画の律儀さが気持ちいい。マット・デイモンとジェシカ・チャステインが、翌年また別の宇宙にそろっているのも面白い。
ビッグ・フィッシュ(ティム・バートン監督・2003年)
ほら話ばかりする父と、それに背を向けてきた息子の話。インターステラーの娘が「行ってしまった父」を許せずにいたように、こちらの息子も父の不在と嘘を許せずにいる。片方は宇宙、片方はおとぎ話という正反対の道具を使いながら、どちらも「親の言葉を子どもがいつ信じられるようになるか」を描いている。父と娘の場面で胸に来た人には、こちらの結末にも同じところを突かれる。
ウォーリー(アンドリュー・スタントン監督・2008年)
ごみに埋もれた地球に、ひとりで残って働き続ける掃除ロボットの話。人類は700年前に巨大な宇宙船へ移り住んだまま、帰ってきていない。インターステラーが地球を出ていく人類の話なら、こちらは出ていったきりの人類のその後を描いている。TARSの乾いた冗談が気に入った人は、ほとんど言葉を話さないロボットの仕草にもきっと弱い。
📺 配信サービス別・視聴ガイド
『インターステラー』はNetflixでは配信なし|見放題はU-NEXT・Prime Video・Hulu
Netflixで探しても、日本では『インターステラー』は再生できない(2026年10月4日時点)。作品ページは残っているものの、日本からは観られない状態だ。見放題で観られるのは、U-NEXT、Amazonプライム・ビデオ、Huluの3社になる。
Huluは無料期間がないので加入済みの人向け。プライム会員なら追加料金なしで再生できる。どこにも入っていないなら、31日間の無料体験が付くU-NEXTで観るのがいちばん手軽だ。
視聴はこちらから
- U-NEXT (31日間無料体験):見放題
- Amazon Prime Video (30日間無料体験):見放題
- Hulu:見放題
- Netflix:配信なし
U-NEXTをすすめる3つの理由
何が見れる?月額は実際いくら?を1ページで
📀 Blu-ray・円盤情報
4K ULTRA HDとブルーレイの3枚組。ブラックホールや氷の惑星の映像は、配信より高い画質で手元に置いておく価値がある。ガルガンチュアの光の輪は、配信の圧縮で潰れやすい部分でもある。
⚠ ネタバレあり|本棚の「幽霊」の正体と、ラストの意味
ここからは本棚の裏側まで書く。放送で観終わった人向けなので、未見ならまとめまで飛んでほしい。
「幽霊」は誰だったのか
ブラックホールのガルガンチュアへ落ちていったクーパーは、本棚の裏側がどこまでも折り重なったような空間にたどり着く。マーフの部屋を、いくつもの時点から同時にのぞける場所だ。ただし声は届かない。彼にできるのは、本を落とすことと、砂に筋をつけることだけだった。本棚の向こうにいたのは、未来から娘の部屋をのぞいている父親自身だった。
出発の朝に本棚から落ちた本は、モールス信号で「STAY」と並んでいた。行かないで、と娘が書いたのではない。行くな、と過去の自分に向けて送っていたのはクーパーだった。冒頭では娘の願いに見えた言葉が、ここで父の後悔に変わる。その後悔が届かなかったから、彼はいまこの場所にいる。
腕時計と、ラストの意味
クーパーは引き止めるのをやめ、TARSがブラックホールの中で集めたデータを、出発の朝にマーフへ渡した腕時計の秒針に、モールス信号で送り込む。大人になったマーフはその時計に気づき、人類を地球から脱出させるための方程式を解く。この空間を用意した「彼ら」について、クーパーは五次元を扱えるようになった未来の人類ではないかと考えるが、映画ははっきりとは答えない。
救い出されたクーパーが目を覚ますのは、土星のそばに浮かぶ巨大な居住ステーションだ。そこで彼は、年老いて家族に囲まれたマーフと再会する。父は約束どおり帰ってきた。ただし、娘が自分より年上になってからだった。マーフは、親が子の死を看取るべきではないと父を送り出し、クーパーはひとりで新しい星にいるアメリアのもとへ向かう。
この映画の設定では、次元をまたいで届くのは重力だけだとされている。クーパーが本棚の向こうから娘へ届けたのも、重力を使った信号だった。アメリアが言った「時間と空間を超える愛」を、映画は重力という物理の言葉に重ねて着地させている。愛で物理を押し切ったようにも、物理で愛を言い直したようにも読める。映画自体は、届いたのは重力だった、という事実だけを置いて終わる。
📝 まとめ
相対性理論の予習は要らない。出発の朝の約束がどこへたどり着くか、それだけ追えば最後まで観られる。宇宙の映像が大きくなるほど、その約束の小ささがかえって際立ってくる。
配信ならU-NEXT・Prime Video・Huluの3社で見放題(10月10日のBSP4Kでの4K放送は終わった)。観終わったら、本棚の場面が何だったのかを確かめに、上のネタバレ欄へ戻ってきてほしい。宇宙へ出ていった側の169分より、農場で待っていた側の年月のほうが長かったと分かる。
⭐ 作品の特徴
| 評価項目 | 評価 | ひとこと |
|---|---|---|
| 映像 | ★★★★★ | 大波、凍った雲、光の輪。見たことのない宇宙 |
| 父と娘のドラマ | ★★★★☆ | 約束ひとつで169分を引っ張る |
| 音楽 | ★★★★☆ | パイプオルガンと無音の切り替え |
| わかりやすさ | ★★★☆☆ | 物理は難しいが、筋は一本道 |
| テンポ | ★★☆☆☆ | 宇宙へ出るまでが長い |
うさぎ亭的おすすめ度
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆☆
7.2 / 10
物理は置いていっていい。約束だけ持って、169分の帰り道へ
