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先に言っておくと、私はハロヲタだ。工藤遥がモーニング娘。を卒業したのは2017年12月で、『のぼる小寺さん』は彼女の映画初主演作にあたる。劇場で観た。贔屓目を差し引いても、小寺さんの魅力は画面の真ん中にちゃんとある。
ただし、彼女は変わらない。最初から最後まで、黙って壁を登っているだけだ。動くのは、その背中を見ている同級生4人のほうになる。進路希望調査の第一志望に「クライマー」と書く女子高生と、彼女を眺めているうちに自分の足元を見直し始める4人を撮った100分である。
📺 『のぼる小寺さん』はどこで見れる?【2026年9月版】
| サービス | 配信状況 | 無料体験 |
|---|---|---|
| U-NEXT | 見放題 | 31日間 |
| DMM TV | 見放題 | 14日間 |
| Hulu | 見放題 | なし |
| Amazon Prime Video | レンタル | 30日間 |
| Netflix | 配信なし | なし |
2026年9月23日時点で、見放題で観られるのはU-NEXT・DMM TV・Huluの3社だ。Amazon Prime Videoはレンタル扱いで、プライム会員でも1本ごとに課金が必要になる。Netflixでは配信されていない。配信状況は変動するため、最新情報は各サービスの公式サイトでも確認してほしい。
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🎬 下の3選で挙げた『BLUE GIANT』『桐島、部活やめるってよ』『武士道シックスティーン』も、3本ともU-NEXTの見放題に入っている(2026年10月時点)。
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結果より、打ち込むことそのものに全部を注ぐ主人公をもう一人観たくなったら、『ロッキー』がいい。あちらは壁ではなくリングの上で、最終ラウンドまで立っていることだけを目標にする。
🎬 予告編
この作品を3行で
- 放課後、黙々と壁を登り続ける女子高生の話
- 登るのは小寺さん、動き出すのは周りの4人
- 大きな事件は起きない。そのぶん「登る」場面が全部見せ場になる
作品情報
- 作品名:のぼる小寺さん
- 公開年:2020年(7月3日公開)
- 監督:古厩智之
- 脚本:吉田玲子
- 原作:珈琲『のぼる小寺さん』(講談社・全4巻)
- 出演:工藤遥、伊藤健太郎、鈴木仁、吉川愛、小野花梨
- 主題歌:CHAI「keep on rocking」
- 上映時間:100分

📖 あらすじ(ネタバレなし)
高校のクライミング部に所属する小寺さんは、放課後になるとひたすら壁を登っている。同じ体育館の隣で練習する卓球部の近藤は、その姿からなぜか目が離せない。気になっているのは近藤だけではなかった。四条、ありか、梨乃と、小寺さんから目が離せない同級生が一人ずつ増えていく。彼女を見ているうちに、それぞれが自分のやりたいことに目を向け始める。
原作は珈琲の同名漫画。監督は『武士道シックスティーン』の古厩智之、脚本は『聲の形』の吉田玲子が担当した。当初は2020年6月5日に公開される予定だったが、コロナ禍で7月3日に延期されている。
✨ この作品の魅力
ここがすごい!
- 主人公は変わらないまま、周りの4人が温度差をつけて変わっていく
- ボルダリング初挑戦の工藤遥が、約4か月の練習を経て本当に登っている
- 一生懸命を笑う側を悪役にせず、同じ画面に置いている
- 大げさな音楽もスローモーションも使わずに押し切る
変わっていくのは、小寺さんを見ている4人のほう
成長物語の主人公にはふつう「足りないもの」が用意されているのに、小寺さんにはそれが最初から見当たらない。
その代わり、周りの4人がひとりずつ動き出す。卓球部の近藤は、隣の壁を登る小寺さんを目で追ううちに、それまで流していた卓球に向き合い始める。同じクライミング部の四条も、小寺さんのそばで登るうちに変わっていく。密かに小寺さんを写真に収めていたありかも、不登校気味だった梨乃も、それぞれ自分が本当はやりたかったことへ手を伸ばす。

この4人の動き出し方が、きれいに揃っていないのがいい。ひとりずつ、別々の速さで動く。それが温度感をもって画面から伝わってくるから、「全員が同じように感化されました」という作り物の感じがしない。4人が見ている小寺さんも少しずつ違っていて、ある人には目の離せない相手、ある人には追いかける目標として映る。それでも根っこにあるのは同じで、あんなふうに何かに夢中になってみたいという憧れだ。
しかも小寺さん本人は、自分が誰かを動かしていることにまったく気づいていない。目標に向かってひたむきに登っているのに、それを自慢することもなく、本人は努力しているとも思っていない。登りたいから登っているだけだ。だから見ている側は、勝手に胸を打たれてしまう。近藤や四条が彼女の生き方に惚れていく流れに説得力があるのは、小寺さんが誰の気も引こうとしていないからだ。
「登る」場面は、どれもテンションが上がる
工藤遥にとってボルダリングは本作が初挑戦だった。公開時のインタビュー記事によれば、練習は撮影期間を含めて約4か月、ただひたすら壁を登る毎日だったという。岩壁のクライミングもスタントを立てずに本人が登っていて、その様子はメイキング映像でも公開されている。
その成果が画面に出ている。体の運びに無理がないので、吹き替えを疑う隙がない。ラストの大会はもちろん、放課後の練習、岩場、校舎の壁と、場所が変わっても小寺さんが登り始めると画面の空気が変わる。本人が本当に登っているから、「この子なら進路にクライマーと書くだろう」と素直に思える。映画全体の説得力を、工藤遥の体が支えている。

一生懸命を笑う側も、同じ画面にいる
この映画は、小寺さんに感化される人だけを並べていない。頑張っている人を遠巻きにからかう生徒も、ちゃんと出てくる。しかもその生徒たちを、懲らしめられるべき悪役として描いていない。ノリや照れや劣等感から出てくる冷やかしとして、高校生の日常の一部に置いている。
これがあるから、4人が変わっていく流れが絵空事にならない。一生懸命がどこか恥ずかしいものとして扱われる教室で、それでも平気で夢中になっている人間が目の前にいる。笑う側と引き寄せられる側が同じ教室にいて、どちらも嘘に見えない。感化の物語は、ここで地面に足がつく。
大げさな音楽も、スローモーションも使わない
盛り上がりどころで音楽を大きくする演出や、決めの瞬間をスローで引き延ばす撮り方が、この映画にはほとんど見当たらない。代わりに聞こえてくるのは、同じ体育館を分け合う部活の物音や、ボールの跳ねる音だ。登場人物の気持ちも台詞で説明しすぎず、表情と行動に預けている。泣かせに来ない映画なので、観ている側も身構えずに済む。
深いテーマ
「結果が出ないなら、やらないほうがましだ」という考え方がある。効率よく生きようとする人ほど、どこかでこれを身につける。小寺さんはそれを言葉で否定したりしない。勝てるかどうかを計算する前に、もう次の壁に手をかけている。その姿を見せ続けることが、そのまま反論になっている。
だからこの映画は、主人公の成長物語というより、見ている側の成長映画として観たほうがしっくりくる。「がんばれ」と簡単に言いにくい空気のなかで、誰にも説教をせず、ただ登る背中だけを置いておく。それが周りの誰かの背中を押していく、という順番で話が進む。
🎭 印象的なシーン
進路希望調査の第一志望に「クライマー」と書く場面。ふつうの青春映画なら、ここで「それで食べていけるのか」という葛藤が一幕入るところだ。マイナースポーツなら、なおさら周囲との衝突が描かれてもおかしくない。この映画はそこに時間を使わない。小寺さんは本気でそう書いていて、本人の中に迷いがない。葛藤をまるごと省いたことで、彼女がどういう人なのかが一行で伝わってくる。この潔さが素晴らしい。
近藤が小寺さんを目で追い続ける一連。ときには後をつけることもあって、並べて書くとなかなか危なっかしい行動だ。伊藤健太郎が演じる近藤の不器用な挙動は笑いどころにもなっているが、実写で観ると引っかかる人もいると思う。私は特に気にならなかった。小寺さんから露骨に嫌がられる描写はなく、若気の至りの範囲に収まって見えたからだ。
文化祭の日の小寺さん。猿の着ぐるみ姿の彼女を、周りの女子たちが笑う。当の小寺さんはまるで気にしていない。そしてこの日、小寺さんは風船を取るために校舎の壁を登る。笑われていたその日のうちに、今度は校舎の壁に取りついている。
💭 視聴後の感情
学生時代の私には、斜に構えるところがたしかにあった。この映画は、そういう人間を責めない。冷やかす側を断罪せず、小寺さんの背中を見せ続けるだけで、見ている側が自分で動き出すのを待っている。押しつけがましさがない。
ラストのベンチの場面は、小寺さんの、ある意味での人間味が見えた場面だった。登ることばかり見せてきた人が、最後にほんの少しだけ別の顔をのぞかせる。
今すぐ観るならU-NEXTで見放題(31日間無料)。
こんな方におすすめ!
- 余命ものやキラキラした青春映画に、少し疲れている人
- 『桐島、部活やめるってよ』のような、学校を舞台にした群像劇が好きな人
- 一生懸命なやつを、内心ちょっとダサいと思っていたことがある人
😅 ここが惜しい
ただ、引っかかった点が2つある。
事件らしい事件が起きない
欠点というより、この映画の味でもある。大きな事件は最後まで起きず、話の抑揚はかなり控えめだ。音楽で盛り上げない演出を良さとして挙げたが、同じものが裏返ると「いつ盛り上がるのか」という物足りなさになる。分かりやすい山場を待ちながら観ると、途中で残り時間を確かめたくなる人もいるはずだ。苦手な人も出ると思う。
卓球の描写は、クライミングほど本気ではない
近藤の卓球は、ラリーが試合前のウォーミングアップのように見える場面があり、大会で勝ち進む場面としては少し説得力に欠ける。クライミングを本人に登らせてまで本気で撮っているぶん、もう一方の競技の軽さが目立ってしまう。近藤の変化を支える柱でもあるので、ここはもう少し手間をかけてほしかった。
ここが残念…
- 山場らしい山場がなく、盛り上がりを待つ人には物足りない
- 卓球の試合描写が軽く、クライミングとの熱量の差が目立つ
こんな方には向かないかも…
- 分かりやすい事件や、どんでん返しで盛り上がりたい人
- 部活ものに、試合の駆け引きや競技の細部まで求める人
- 主人公がはっきり成長していく物語を観たい人
サウンドトラック購入先
主題歌はCHAIが本作のために書き下ろした「keep on rocking」。映画の公開と同じ2020年7月3日にリリースされた。
- Spotify:配信あり
- Apple Music:配信あり
🎬 「のぼる小寺さん」が好きなら絶対見るべき3選
BLUE GIANT
ひたむきな一人の横で、見ていただけの人間が動き出す。この構造がそのまま入っている。サックスに全部を注ぐ宮本大が上京して転がり込んだ先の同級生・玉田は、大の姿を見ているうちにドラムを始めてしまう。近藤と同じ位置に立っていた人間が、いつのまにか主役を食う。『のぼる小寺さん』で近藤に肩入れした人ほど、玉田に持っていかれるはずだ。
桐島、部活やめるってよ
『のぼる小寺さん』を語るときによく並べられる一本だ。バレー部のキャプテン・桐島が部活をやめるらしいという噂ひとつで、校内の人間関係が少しずつずれていく群像劇だ。朝井リョウのデビュー小説を吉田大八監督が映画化した2012年の作品で、神木隆之介が主演している。ひとりの存在が周りを動かすという骨組みは同じで、真ん中の人物の置き方が正反対になっている。小寺さんが画面の真ん中に居続けるのとは違い、桐島本人はほとんど姿を見せない。
武士道シックスティーン
『のぼる小寺さん』の古厩智之監督が、2010年に撮った部活映画だ。誉田哲也の小説が原作で、剣道一筋で勝つことにこだわる香織(成海璃子)と、剣道を楽しむ早苗(北乃きい)という対照的な2人を描いている。同じ競技に向き合う温度の違いを撮っているという点で、近藤たちが小寺さんとの距離を少しずつ縮めていく本作と地続きに見える。同じ監督が、10年前に部活をどう撮っていたかが分かる一本でもある。
📺 この記事の4本が、どこで見放題か(○=見放題・?=確認できず・10月25日に確認)
| 作品 | U-NEXT | Netflix | Hulu | Prime |
|---|---|---|---|---|
| のぼる小寺さん | ? | - | ○ | - |
| BLUE GIANT | ○ | ○ | - | - |
| 桐島、部活やめるってよ | ○ | - | - | - |
| 武士道シックスティーン | ○ | - | - | ○ |
少なくとも3本がU-NEXTの見放題に入っている。
U-NEXTの月額2,189円は、毎月戻る1,200ポイントで実質989円になる。料金とポイントの使い道、31日間の無料体験と解約のしかたはU-NEXTの紹介ページにまとめた。
📺 配信サービス別・視聴ガイド
👉 観るならU-NEXT(31日間の無料体験あり)。各サービスの違いは下にまとめた。
『のぼる小寺さん』はどのサブスクで観るのがおすすめ?
見放題で配信しているのはU-NEXT・DMM TV・Huluの3社だ。初めて登録する人なら、U-NEXTかDMM TVのお試し期間に収まる。100分の映画1本なので、期間の長さで困ることはまずない。すでにHuluに入っているなら、追加の出費なしでそのまま観られる。Amazon Prime Videoはレンタル扱いなので、プライム会員でも別途料金がかかる。Netflixでは配信されていない。
100分と短めで、一晩で観終わる長さだ。大きな音で押す映画ではないので、家の画面で観ても損をするところは少ない。
視聴はこちらから
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- Netflix:配信なし
U-NEXTをすすめる3つの理由
何が見れる?月額は実際いくら?を1ページで
📚 原作情報
原作は珈琲の同名漫画で、講談社の『good!アフタヌーン』で2015年から2017年まで連載された。単行本は全4巻で完結している。4巻で終わったことから打ち切りを気にする声もあるが、最終巻は小寺さんが大会の決勝に挑むところまで描いて幕を閉じている。作者の珈琲は、のちにダンス漫画『ワンダンス』を描く漫画家で、本作が初めての連載作だった。私は原作を読んでいないが、映画で小寺さんを知った人が次に手に取るならここからだ。
📱 電子でまとめ読みするならBOOK☆WALKERが初回購入50%コイン還元で安い。1巻だけ試すならRenta!の48時間レンタルが購入より安い。
📝 まとめ
『のぼる小寺さん』は、主人公が最後まで変わらない青春映画だ。小寺さんは登りたいから登り、周りの4人がそれを見て、自分の壁に手をかけ始める。事件は起きないし、卓球の場面には物足りなさも残る。それでも、工藤遥が本当に登っている姿を見ているだけで、この映画の言いたいことは十分に伝わってくる。
大きな山場より、放課後の体育館の空気が好きな人なら、100分はあっという間だ。一生懸命を笑う側にいたことがある人ほど、刺さる映画だと思う。
⭐ 作品の特徴
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| クライミング描写 | ★★★★★ | 本人が登っているので嘘がない |
| 群像劇 | ★★★★☆ | 4人の変わり方に温度差がある |
| 演出の抑制 | ★★★★☆ | 音楽でもスローでも泣かせない |
| 起伏 | ★★☆☆☆ | 事件らしい事件は起きない |
| 卓球の描写 | ★★★☆☆ | クライミングとの熱量の差が目立つ |
うさぎ亭的おすすめ度
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐☆☆
7.7 / 10
変わらない小寺さんと、変わっていく4人を見届ける100分
